【12月12日 AFP】メキシコのカンクン(Cancun)で開かれていた国連の気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)は11日、発展途上国の温暖化対策を支援する「グリーン気候基金」の設立などを盛り込んだ「カンクン合意」を採択して閉幕した。

 グリーン気候基金は先進国と発展途上国の両方から選ばれた24か国が運営し、当初の3年間は世界銀行(World Bank)が新組織を監督するとされたが、世界銀行に不信を抱く一部の参加者はこの点に反発した。

 欧州連合(EU)、日本、米国は前年のコペンハーゲン合意(Copenhagen Accord)で、先進国が共同して300億ドル(約2兆5000億円)の緊急支援を行い、2020年までに年間1000億ドル(約8兆4000億円)の資金を集めるという目標を約束した。しかし厳しい経済情勢のなか、これほど巨額の資金拠出に積極的な国はほとんどなく、先進国からどのように資金を集めるかという点が問題になった。会議に参加した一部の代表団は、航空機と船舶の燃料への課税を主張した。

 カンクン合意では産業化以前からの気温上昇を2度以内に抑えることを呼びかけるとともに、気温上昇を1.5度以内にするための研究の必要性を訴えた。森林破壊防止対策や、各国の気候変動対策の実施状況を検証することでも合意した。

■難題は持ち越し

 しかし、すべての国を対象にした温暖化ガス排出削減など、合意が難しい問題の多くは来年南アフリカで行われる次回の会議に持ち越された。

 2012年末に期限が切れる京都議定書(Kyoto Protocol)の扱いについて議論は数日間紛糾した。EUは京都議定書の延長を提案したが、日本は、京都議定書には世界の主要排出国である米国と中国が参加していないため、世界の排出量の約30%しかカバーしていないとして同議定書の単純延長に反対する姿勢を示した。

 最終的にカンクン合意では、格差をなくすことを目指して京都議定書の第2期間の検討作業を行うことを呼びかけたが、各国に新ラウンドへの参加義務は課さなかった。

 京都議定書は途上国に排出量削減を求めていない。中国は条約にしばられることを拒否している一方、インドが今回の会議で将来においては少なくとも、義務としての行動を検討すると表明したことは驚きを持って受け止められた。

■議長国メキシコに称賛

 前年のデンマークのコペンハーゲン(Copenhagen)で開かれたCOP15はとげとげしい雰囲気だったが、今回の会議は閉幕前に2夜にわたってほぼ徹夜の話し合いを行い、最後は議長を務めたメキシコのパトリシア・エスピノサ(Patricia Espinosa)外相を参加者がスタンディングオベーションで称えて幕を閉じた。

 米政府によるとバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はメキシコのフェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)大統領に電話をかけ、会議の成功と議長国メキシコの手腕を称賛した。カンクンに乗り込んだ国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長も今回の会議で重要な進展がみられたと述べた。(c)AFP/Shaun Tandon