【11月10日 AFP】世界の野生動物取引を監視しているNGO、「トラフィック・インターナショナル(Traffic International)」は9日、違法取引のため、絶滅が危ぐされている野生のトラが過去10年間で1000頭以上も殺されたとする報告書を公表した。

 これによると2000年1月から2010年4月までに、野生のトラが生息する13か国のうち11か国で、1069~1220頭分に相当するトラの体の部位が押収された。押収件数が最も多かったのは野生トラの最大の生息地であるインドで、276件が摘発され533頭のトラから取られた部位が押収された。摘発件数では中国の40件、ネパールの39件がこれに続いた。

 インドネシア、タイ、ベトナムなど東南アジアでの押収件数が増加したほか、ミャンマー・インド・中国の国境地帯や、マレーシアとタイの国境地帯、ロシアと中国の国境地帯でトラの違法取引が多く行われているという。

 多くの文化圏でトラの身体の一部は装飾や縁起物、漢方薬などの原料として用いられ、一枚皮、骨、爪、頭蓋骨、ペニスなどさまざまな部位が押収されている。生きているトラや死んだトラが1頭丸ごと押収される場合もあるという。

 世界自然保護基金(World Wide Fund for NatureWWF)でトラの保護プログラムを担当するマイク・バルツァー(Mike Baltzer)氏は、「今回の報告書は、これまでに数々の取り組みがなされてきたにもかかわらず依然としてトラの違法取引が続いているという現実を示した」と述べた。(c)AFP

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