【11月5日 AFP】国連開発計画(UN Development ProgrammeUNDP)は4日に発表した年次報告書で、地球温暖化と消費社会のグローバル化が世界の繁栄と幸福にとって脅威となりつつあると警告した。

「真の国富論」と題した報告書は、調査を行ってきた過去20年の間に世界のほぼ全体で、経済状況や衛生面、教育水準などが向上してきたと評価した。しかし「人間社会の発達における進化を維持するうえで最大の脅威は、生産と消費のパターンが明らかに持続性を失いつつある点にある」と指摘している。そして経済成長の化石燃料への依存を減らすうえで富裕国が先導的な役割を果たし、貧困国に持続可能な発展の道をしるすべきだと訴えた。
 
 また2050年には世界人口が90億人に達し、生活水準の上昇が見込まれる中、エネルギー資源の供給はいっそう逼迫するだろうと報告書は予測している。これに対し「気候温暖化は唯一、今後の歴史で人類が歩むと思われる開発の進行を妨げる要素となるだろう」とも警告している。

 例として小麦価格が倍になれば「絶大な影響を及ぼし」、最悪の場合、2050年までに世界の1人当たりの穀物の消費量は現在よりも20%減り、その影響は2500万人の栄養不良の子どもたちに及び、中でも南アジアが最も被害を受けると指摘している。(c)AFP