【5月12日 AFP】世界最高峰エベレスト(Everest)の清掃登山を行っているネパールのシェルパたちが、標高8000メートル以上の「デスゾーン(死の領域)」でスイスの登山家など複数の遺体を収容した。清掃登山のコーディネーターが11日明らかにした。

 普段は登山ガイドを務めているシェルパたち20人のチームは、前月下旬、遠征で出たゴミや遭難者の遺体を収容するため、標高8000メートル以上での清掃登山に出発した。コーディネーターのチャクラ・カーキ(Chakra Karki)氏のブログ「Extreme Everest Expedition」によると、チームは標高6065メートルと6500メートルの地点にそれぞれキャンプを設営し、既にゴミの回収を始めている。

 これまでに、2008年の無酸素登頂中に遭難したスイスの登山家ジャンニ・ゴルツ(Gianni Goltz)氏の遺体を収容した。同氏の遺体の発見と収容は、清掃登山の主な目的の1つだった。

 ほかにも、1996年に12人もの死者を出した遭難事故で命を落とした登山ガイドのロブ・ホール(Rob Hall、ニュージーランド)とスコット・フィッシャー(Scott Fischer、米国)両氏の遺体も収容された。この悲劇の真相を描いたドキュメンタリー『空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか(Into Thin Air)』は当時ベストセラーとなった。

 ネパール山岳協会(Mountaineering Association)によると、1953年以来、エベレストで死亡した人の数は300人にのぼっている。その多くは下ろされるが、標高8000メートル以上の場合は通常放置され、遺体は極低温のため凍結された状態で残るという。

 なお、清掃チームは、標高8000メートルに挑む手前の標高6000メートル付近で、酸素ボンベや放置されたテント、ロープ、バックパックなど、大量のゴミを回収した。これらはすべて、ベースキャンプに降ろされ、ゴミの展覧会を開催予定の同キャンプに「展示」されるという。(c)AFP

【参考】シェルパによるエベレスト清掃登山の公式ブログ(英語)

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