【4月21日 AFP】環境団体などが反発している、ブラジル・アマゾン(Amazon)に計画中の世界で三番目の大きさとなるベロモンテ(Belo Monte)水力発電ダム工事の入札が20日実施され、電力公社エレクトロブラス(Electrobras)の子会社が中心となる企業連合、ノルテ・エネルギア(Norte Energia)への発注が決まった。

 同ダム建設には環境保護団体などが強く反対して建設中止を求める訴訟を起こし、裁判所の建設中止命令によって入札プロセスが何度か中断していた。

 同ダムの給水源となるシングー(Xingu)川流域には先住民を中心に1万2000世帯が住んでいる。先住民団体や国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)などの環境活動家らは、ダム建設は環境を破壊し暮らしに脅威をにさらす無責任な計画だと非難しており、入札が行われた首都ブラジリア(Brasilia)の国家電力エネルギー庁(ANEEL)前で抗議デモを行った。

 反対派はまた、ダム建設に伴い、2万~3万世帯が住む地域にシングー川が約100キロにわたって迂回(うかい)する見込みだとも指摘しており、建設されれば水底に沈むとみられるアマゾン熱帯雨林内500平方キロの一部で占拠行動を計画している。

 反対運動は広がっており、最近では映画『アバター(Avatar)』のジェームズ・キャメロン(James Cameron)監督や出演した女優シガーニー・ウィーバー(Sigourney Weaver)も現地入りして運動に参加した。侵略者と戦う先住者という『アバター』のストーリーは、ダム建設とそれに反対する先住民という構図に似ている。

 見積もられているベロモンテ水力発電ダムの総工事費は112億ドル(約1兆450億円)、発電容量は1万1000メガワットで2000万世帯分の電力供給ができる。(c)AFP/Yana Marull

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