【3月16日 AFP】野生のトラを保護する35年間におよぶ努力は「無惨にも失敗した」、とワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and FloraCITES)事務局のウィレム・ウィンステッカー(Willem Wijnsteker)事務局長が15日に語った。

 ウィンステッカー事務局長は、「2010年は、干支(えと)ではとら年であり、国際生物多様性年(International Year of Biodiversity)だ。今年こそ、過去の流れを覆さなければならない。さもなくば永遠の不名誉となるだろう」と語った。

 わずか100年前には世界のジャングルや森林には、トルコから中国、ロシア極東からインドネシアまで、10万頭を超えるトラが生息していた。

 トラの部位の国際取引禁止は1975年に実施された。これはワシントン条約の初期の成果の1つだった。しかし現在、世界に生息するトラは3200頭に満たない。

 トラの密猟は今も続いている。主に毛皮目的だが、骨や内臓も長寿の伝統医薬品などを作るためにも求められている。

 ワシントン条約事務局のジョン・セラー(John Sellar)氏は「真剣に一致団結して行動しなければ、この動物たちに残された時間はあとわずかだ」と語る。「トラはさまざまな意味で、地球の健康さを測る指標になっている。もしトラが絶滅するとすれば、それはわれわれが大変な罪を犯したということなのだ」

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