【2月24日 AFP】米カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)で開催中の米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)の年次総会で、「ジオエンジニアリング」による地球温暖化防止についての発表があった。

 ジオエンジニアリングとは環境に人工的に直接手を加えることを意味する。例えば大気に雲の種になる物質をまいて、太陽光の反射率を高めて地球表面の温度低下を図る。

 大型船から微細な粒子を大気に放散すれば雲の粒子が細かくなってその数も増え、太陽光の反射率が高くなることで、地球表面の温度上昇を避けられるという。

 大規模な火山の噴火で硫黄ガスが大気に放出されるとその後気温が下がることを応用して、高空を飛ぶジェット機から硫黄ガスを放散するというアイデアもある。

 カルガリー大学(University of Calgary)のデイビッド・キース(David Keith)教授(地球科学)は、蒸気を直接凝結させて粒子を作ればいいのであれば非常に多くの化合物が候補に挙がるが、その効果と潜在的なリスクを評価するのは難しいと指摘する。

■リスクを読み切れず

 ジオエンジニアリングは効果が立証されていないだけでなく、危険でさえあると指摘する声もある。地球表面の温度が下がると南アジアのモンスーン地帯などでは降水量が減るおそれがあり、かえって悪影響を受ける場所もでてくるだろう。

 ジオエンジニアリングの中には、コストが非常に安く、小国や場合によっては個人でも実施できるものがあり、非常に危険だとキース氏は指摘する。さらに安易に地球の気温を下げられるならば、温暖化ガス排出削減の努力がおろそかになるおそれもある。

 しかし、温暖化ガス排出削減だけでは温暖化を食い止めるのに不十分である以上、ジオエンジニアリングの研究開発は進めるべきだという科学者が多い。(c)AFP/Karin Zeitvogel