【2月12日 AFP】米首都圏を見舞った記録的な暴風雪をめぐり、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスによる気候変動説に懐疑的な議員らが、温暖化対策法案を廃止に追い込む好機と見て攻撃を強めている。

 数十年ぶりの大雪に「埋もれた」ワシントンD.C.(Washington D.C.)では、保守的な共和党議員らが口々に「温暖化対策推進派」の指導者らを批判した。特に槍玉に上がったのは、地球温暖化に警鐘を鳴らしたアル・ゴア(Al Gore)元米副大統領だ。

■雪の家つくり「ゴア氏の新居」

「アル・ゴアが『降参だ』というまでワシントンに雪を降らし続けてやる」――。サウスカロライナ(South Carolina)州選出のジム・デミント(Jim DeMint)上院議員(共和党)は、ツイッターにこう書き込んだ。

 一方、温暖化懐疑派の中心的人物であるオクラホマ州選出のジェームズ・インホーフェ(James Inhofe)上院議員(共和党)は、家族と共に、ワシントンD.C.の米連邦議会議事堂(Capitol Hill)前にイヌイットの雪の家「イグルー」を作り上げ、「アル・ゴアの新居」と書いた看板を掲げた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の就任以来、米政府の温暖化対策は劇的な変化を遂げ、下院は前年6月、同国初となる全国的な温暖化ガス排出量規制案を採択した。しかし、1月のマサチューセッツ(Massachusetts)州の上院補選で共和党候補が勝利、同法案が上院を通る前に、民主党は上院における安定議席を失ってしまった。

■異常な大雪こそ気候変動の証拠

 懐疑派の動きに対し、環境保護派はすぐさま反撃を開始。12日から始まる2010年バンクーバー冬季五輪の開催地バンクーバー(Vancouver)が異例の雪不足に悩まされている問題を引き合いに出し、これこそ異常気象の証拠だとして、大雪の原因を「誤解」するなと警告を発した。 

 気象学者の多くは今回の豪雪を気候変動と直接関連づけてはいないが、一部の専門化は、南米ペルー沖の海水温が上がるエルニーニョ現象が原因だと指摘している。(c)AFP/Shaun Tandon