【12月24日 AFP】地球温暖化を生き抜くためには、陸上の生態系は毎年数百メートル移動しなければならなくなるとの研究が24日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 米カーネギー研究所(Carnegie Institution)によると、陸上生態系は快適な地域で生息するために、涼しい地域に向かって年平均420メートル移動しなければならなくなるという。

 マングローブや湿地、砂漠のような平地部の生態系は、生き延びるために最も遠くまで移動しなければならないという。山地の生態系はやや恵まれており、山を少し登れば涼しい環境に移動できる。

 推計は国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)による温室効果ガス排出シナリオ「A1B」に基づいて行われた。「A1B」は排出量が中程度のシナリオで、21世紀の気温上昇を2.8度と予測している。

 研究によると、気候変動の影響は、熱帯または亜熱帯の針葉樹林、温帯の針葉樹林、低山帯の草地、低木地で最も遅く、砂漠、マングローブ、草地、サバンナなどで最も早く出るという。

 研究では、非情なダーウィン的淘汰が起こるとの見通しも示されている。丈夫な種は気温の上昇や生息地の変化に適応できる可能性もある。また、気温上昇前に別の場所に移動できる種も生き残れるかもしれない。逆に、適応できない種や、植物のように少しずつしか移動できない種は絶滅に直面するかもしれない。

 自然保護区などは、予想される生態系の移動に対応するには小さすぎると研究は指摘する。世界中にある保護区のうち、今後100年で現在の気候条件を維持できるのは10%に満たないという。(c)AFP