【11月27日 AFP】世界最高峰のフランス料理のシェフらが今週、絶滅の危機にあるクロマグロ(本マグロ)などを使った魚料理をレストランのメニューから外す方針を宣言した。

 フランス随一の巨匠シェフ、オリビエ・ローランジェ(Olivier Roellinger)氏は、欧州では食用魚の半数がレストランで消費される点を指摘、グルメ大国フランスの一流シェフたちがはっきりとした態度を示す時が来たと述べた。

「われわれシェフは、調理をし食事を提供する立場の人びと全てに対して責任がある。他の料理人はもちろんのこと、母親や父親などに、あるべき道を示さなければならない。人びとは、大自然の食料貯蔵庫である海が危機的状態にあることに気づかなければならない」

 ローランジェ氏が副会長を務める、世界57か国の高級ホテル・レストラン475軒が加盟する権威ある会員組織「ルレ・エ・シャトー(Relais et Chateaux)」は今週、現在の消費のペースが続けば、2050年までに海洋の食用魚は絶滅するとの専門家の試算を発表した。ローランジェ氏によると、会員の60%から、本マグロをメニューから外すことで同意を得たという。同協会には日本の会員もいる。

「責任をはっきりさせるため、同意しない会員はすべて公表する予定だ」と語るローランジェ氏。とくに魚料理が高く評価されて3つ星を獲得したシェフだが(1年前に体力の衰えを理由に引退し星を返上)、5年前に本マグロをメニューから外した。

 ジェラール・パセダ(Gerald Passedat)氏、ジョエル・ロブション(Joel Robuchon)氏、アラン・デュカス(Alain Ducasse)氏など、他の有名3つ星シェフらもすでに数年前から、自店のメニューから本マグロを外している。(c)AFP/Gersende Rambourg