【10月27日 AFP】米国は、国民がマイカーを定期的にメンテナンスする、屋根裏部屋に断熱効果を施すなど、ライフスタイルにちょっとした変更を加えるだけで、フランスの年間排出量と同程度の温室効果ガスを減らすことができる――。米ミシガン州立大(Michigan State University)の研究グループが、26日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)にこのような研究結果を発表した。

 現在、米国の二酸化炭素年間排出量は6億2600万メートルトンで、うち家庭におけるエネルギー消費が直接的に占める割合は38%にのぼっている。

 研究グループは、この年間排出量を即座に下げるための方法として、新技術の開発や排出量規制・取引よりも「消費者行動の変化」に重点を置く方が効果的であることを示す調査結果を発表した。
 
 研究グループは、二酸化酸素の排出量を減らすために米国人ができることを17項目挙げ、これらを「家に耐候性を持たせる」「効率の良い装置に切り替える」「装置をメンテナンスする」「(ヒーターの設定温度など)装置の設定を変更する」「個人の日常的な使用を変更する」の5つのグループに分類した。

 その結果、17項目全体で、二酸化炭素の排出量を10年後までに年間1億2300万メートルトン減らすことが可能になることが明らかになった。この数字は米国の全排出量の7.4%を占め、フランスの全排出量をやや上回る規模になる。

■日本や欧州でも効果が期待

 排出量を最も減らすことができると考えられる行動は「低燃費の車に乗り換える」ことで、これだけで排出量を10年後までに3100万メートルトン以上、割合にして5%以上減らすことが可能なことがわかった。

 屋根裏部屋の断熱性を向上する、すき間風の入る窓や扉を取り替えるか目張りをするといった「耐候性を持たせる」分野では2100万メートルトンの削減、エネルギー効率の高い装置への交換では約1200万メートルトンの削減がそれぞれ可能になった。

 赤信号になりかけの時にスピードを上げない、マイカーを定期的にメンテナンスする、冬のヒーターの設定温度を20度まで下げる、洗濯物を乾燥機ではなく物干し台で干す、などの小さな行動であっても、10年後までに400万~800万メートルトンの削減が可能だという。
 
 こうしたライフスタイルの変更の好影響は、米国だけにとどまるものではない。二酸化炭素の排出量の内訳が米国と似通っているカナダやオーストラリアでも同程度の削減が見込まれ、欧州と日本でも、国民が同様の行動をとるだけで、米国の割合の約半分ほどの削減効果があるという。(c)AFP