【9月27日 AFP】インド洋に浮かぶ島国モルディブのモハメド・ナシード(Mohamed Nasheed)大統領は、10月24日に14人の閣僚が海に潜って「海中閣議」を開くことを決めた。同国に深刻な打撃を与えている気候変動問題に注目を集めるため。大統領府が25日、AFPに明らかにした。

 海中閣議では、12月7~18日にコペンハーゲン(Copenhagen)で開かれる気候変動会議に提出する「モルディブ国民からの声明」を承認する予定。閣僚はスキューバダイビングの装備を身につけ、ホワイトボードや身振りを使って話し合う。

 アミナス・シャウナ(Aminath Shauna)副次官によれば、政府のトップから市民団体350.orgまであらゆるレベルで気候変動対策に取り組んでいることを示すのが目的だという。AFPが受け取った電子メールで同副次官は、「モルディブにとって温暖化はジョークではなく、温暖化による海面上昇はわが国にとって現実の脅威にほかなりません」と述べた。

 350.orgは、10月24日の世界行動デーの企画に携わる市民団体。大気中の二酸化炭素濃度を安全なレベルとされる350ppm以下にすることを目指すキャンペーンを展開している。創設者は「人間の終焉(The End of Nature)」の著者、ビル・マッキベン(Bill McKibben)氏だ。

 環境関連の研究を行っているグローバル・カーボン・プロジェクト(Global Carbon Project GCP)が2008年9月に出した報告書によると、大気中の二酸化炭素濃度は2007年に383ppmに達している。

 マッキベン氏によると、モルディブの閣僚のうち数人はダイビングの初心者であるため、しばらくトレーニングを受けることになるという。

 モルディブの国土を構成する1192の島々の平均海抜は1.5メートルしかなく、気候変動の影響で国土が水没するおそれがあることから、同国政府は全国民約33万人を移住させる土地をオーストラリアやインド、スリランカなどで購入する計画さえ検討している。(c)AFP