【8月19日 AFP】氷の貯蔵量で世界第3位のチベット高原(Tibetan Plateau)は地球温暖化で破滅的な影響を受ける危険性があるが、一方で農業や観光は恩恵を被ることになる――中国の国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は18日、専門家のこのような分析を掲載した。

 中国気象局(China Meteorological Administration)の元局長で現在は中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の研究員を務めるQin Dahe氏は、温暖化がチベットの農業と観光業にはプラスに働くと指摘する。「実際、作物の生育期間は拡大している」とQin氏。

 一方で、温暖化がチベットとその周辺地域に及ぼすさまざまな負の影響についても強調する。

 チベットの気温は中国の他地域に比べて4倍の早さで上昇しており、氷河の後退スピードも世界の氷河の中で最も速い。Qin氏は、短期的には湖が拡大して洪水や土石流をもたらし、長期的には、氷河が消滅した場合、インダス川やガンジス川などのアジアの川の流域では水の供給が危機に陥ると述べた。(c)AFP