【7月7日 AFP】イベリア半島を半砂漠地帯に変えつつある気候変動の影響で、スペインのワイン生産者らは、ブドウ畑をより高度の高い場所へ移転する計画を立てることを余儀なくされている。

 スペインはワイン用ブドウの作付面積では世界一だが、同時に気候変動の最前線に立たされていると、サラゴサ大学(University of Zaragoza)のワイン専門家、フアン・フランシスコ・カチョ(Juan Francisco Cacho)氏は指摘する。

 スペイン環境省によると、同国は欧州一の乾燥地帯で、気候の「アフリカ化」が見られ、国土の3分の1が「深刻な」砂漠化のリスクに直面している。

 ブドウの栽培には太陽が不可欠だが、あまり暑いと、ブドウからは糖分のほかに、香り、硬さ、色をゆっくりと醸成する要素が失われてしまう。

 大手ワイナリーとスペインワイン連盟(Spanish Wine Federation)は、こうした危機に対処してブドウをゆっくりと熟成させる方法を模索するプロジェクト「デメテル(Demeter)」を立ち上げている。

 有効な解決策の1つとされているのが、「栽培地の高度化」だ。高度が高いと、熱が和らいで夜も涼しいため、ブドウの熟成も改善される。カチョ氏は、「ブドウ生産者は、今後15年以内に、海抜800メートルから1000メートルの間にブドウ畑を作る必要にせまられるだろう。大手メーカーは既に高地の土地を購入し始めている」と話している。(c)AFP/Olivier Thibault