【3月5日 AFP】欧州がアザラシ製品の禁輸措置に踏み切る可能性が高まるなか、カナダの上院議員が3日、承認される見込みのないまま、カナダでのアザラシの商業捕獲を禁止する法案を議会に提出した。

 カナダのマック・ハーブ(Mac Harb)上院議員は、先住民イヌイット(Inuit)の伝統猟を除き、カナダでのアザラシの商業捕獲を全面的に禁止する法案を議員立法で議会に提出した。

 ハーブ議員は声明で「アザラシ製品の市場がなくなり、圧倒的な国際社会の反対のなか、カナダは、この斜陽産業をこれ以上復興させることはできないと認識しなければならない」と述べた。

 国際動物福祉基金(International Fund for Animal WelfareIFAW)は、ハーブ議員が、世界最大規模の海洋ほ乳類の殺害に終止符を打つ法案を提出したカナダで初めての政治家だと述べ、同議員への支持を表明し「真に歴史的な瞬間だ」と語った。

 しかし、この法案は、ハーブ議員の所属する自由党(Liberal Party)の議員らからも支持が得られず、上院の議題からただちに取り下げられた。

 これに先立ち、欧州連合(EU)の立法機関は2日、アザラシ製品のEU域内への輸入と域外輸出の禁止、さらにアザラシ製品のEU域内の通過の禁止を投票で決めた。

 これに対し、カナダ政府は、アザラシ猟の「人間味」を強く弁護し、アザラシ猟を禁止する動きを拒否する姿勢を示していた。

 アザラシ製品の禁輸措置は、ブリュッセル(Brussels)で4月1日に開かれる欧州議会(European Parliament)本会議で投票が行われる。その後、EU諸国の承認を受けて、同禁輸措置は施行されることになる。(c)AFP