【2月5日 AFP】ジンバブエへ、絶滅危惧(きぐ)種の野生動物を見に行く――政治が混乱をきたし、極度の貧困に見舞われているこの国は、バケーション先としては理想的ではないかもしれないが、旅行業界で最近ブームになりつつある分野「ツーリズム・オブ・ドゥーム(破滅に向かいつつある場所への旅行)」では超人気の旅行先となっている。

 現在、気候変動や環境破壊などの影響により「まもなく変化または消滅する」と考え、「変化・消滅してしまう前に見ておかなければ」と焦る旅行者たちが、溶けつつある氷河、縮小しつつある熱帯雨林などに殺到するようになっている。

 旅行代理店向け雑誌「TravelAge West」の編集者、ケン・シャピロ(Ken Shapiro)氏によると、こうしたブームは約2年前に始まった。行き先としては、南極の氷河、オーストラリアのグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)、頂上の雪がなくなりつつあるタンザニアのキリマンジャロ山(Mount Kilimanjaro)などの人気が高まってきているという。

■なぜか人気のジンバブエ

 スペイン・マドリード(Madrid)で1日に閉幕した国際観光産業見本市(FITUR)に出展したアフリカ旅行専門代理店「Africa Albida Tourism」のロス・ケネディ(Ross Kennedy)社長は、環境意識の高まりが観光ビジネスを押し上げているという。

 実際、同社がジンバブエのビクトリア滝(Victoria Falls)のそばで運営するサファリロッジへの外国人観光客は増え続けている。ここを起点に、絶滅危惧種が多く生息する同国北部の国立公園でサファリを楽しむこともできる。

 同国の政情不安、超インフレ、物資の不足、コレラの大流行にもかかわらず、2008年に同社を利用してジンバブエを旅行した人は、前年比で4%増加したという。

■シロクマの首都にも

 溶解しつつある南極の氷河も人気沸騰中だ。国際南極旅行業協会(International Association of Antarctic Tour Operators)によると、2007-08年度のシーズン中に南極を訪れた旅行者は4万6000人以上。これは5シーズン前の2倍以上という。南極大陸のクルーズ船も大幅に増便されている。

「シロクマの首都」とも称されるカナダ北部の辺境の町、チャーチル(Churchill)にも、近年旅行客の姿が目立つという。(c)AFP/Daniel Silva