【1月22日 AFP】中東の湾岸諸国は、1年中太陽が照り続けている地域であるにもかかわらず、その豊富な太陽エネルギーを活用するための環境技術の導入については積極的ではない――。環境技術産業関係者が20日、アラブ首長国連邦(UAE)・アブダビ(Abu Dhabi)で開催されているWorld Future Energy Summit and Exhibitionで語った。

 ドイツの太陽光・風力発電技術メーカーConergyのアジア・太平洋地区責任者シュテファン・ミュラー(Stefan Muller)氏は、「湾岸諸国は、口だけではなく行動すべき。こうした国々は、自国で日中に消費するエネルギーを太陽エネルギーで賄うことができるのですから」と語った。

 Conergyは、サウジアラビア・ジッダ(Jeddah)の大学で、2メガワットの屋上設置型太陽光発電システムを建設中で、3月から運用を開始する。ミュラー氏によると、この発電システムは大学全体の電気を賄うことはできないものの、湾岸地域ではこれまでで最大規模のものになるという。

 また、アブダビの再生可能エネルギー関連企業マスダール(Masdar)は、自社で進めている二酸化炭素排出ゼロの新都市の電力供給源として、10メガワットのソーラーファーム(太陽光発電所)を建設中で、これも3月から運用が開始されるという。

 この新都市は、総費用が220億ドル(約1兆9000億円)、敷地面積が6.5平方キロ以上になる予定で、2015年の完成時には5万5000人が居住することになるとみられている。ここで使われるエネルギーは、すべてが再生可能なエネルギーで賄われるという。

 だが、この2つのプロジェクトは別として、湾岸地域における太陽光発電への取り組みはほとんど行われていない。家庭レベルにおいても、地中海沿岸地域では一般的な太陽熱温水器などは湾岸地域ではほとんど目にすることはない。

 ギリシャのSOLEUAE and MIDLAND Tradingの地域責任者、ジョン・オーウェン(John Owen)氏は、自社の太陽熱温水器がいかに優れているかを力説しながら、「この地域の市場は動きが遅い。(太陽熱温水器の導入に向けて)進んではいるが、とにかく動きが遅いんだ」と語った。

 オーウェン氏はその上で、導入すれば4年以内で元が取れるにもかかわらず太陽熱温水器の導入が遅れているのは、政府によって義務化されてこなかったからだと指摘した。(c)AFP/Ali Khalil