【1月20日 AFP】欧州では過去30年間で霧、もや、かすみの発生が減少しているが、この傾向は大気環境の改善を意味する一方、局地的な温暖化を招いている可能性もある。このような研究結果が18日発表された。

 フランス原子力庁(Atomic Energy CommissionCEA)の研究チームは、欧州342か所の測候所のデータを分析した。

 その結果、1978年から2006年にかけて、欧州の一部地域で平均気温が地球平均を上回る上昇を見せ、特に北欧、中欧、東欧でその傾向が強かった。

 さらにこの時期、霧、もや、かすみにより「視界が悪かった」日数は半減していたことがわかった。

 霧、もや、かすみは太陽放射を反射し、霧で覆われると地表の温度が2度程度下がることが今回の研究で明らかとなったが、調査対象期間の欧州における気温上昇の20%(東欧では50%)は、霧、もや、かすみの減少に起因するという。
 
 また、霧、もや、かすみの減少は、石油・石炭の燃焼の際に生成され「酸性雨」の原因にもなる、二酸化硫黄(SO2)の大気含有量の減少にも密接に結びついており、実際、共産主義体制が崩壊し、大気汚染の原因である石炭消費が減少した東欧では、気温上昇が特に顕著だった。

 だが、SO2の減少傾向は最近、徐々に収まっていることから、霧の減少も収まる可能性が高く、「欧州の温暖化は、今後数年間は小康状態が続くのではないか」と研究チームは見ている。(c)AFP