【1月2日 AFP】オーストラリア・グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)でサンゴの成長が1990年から急速に鈍化しているのは、世界の海洋における急激な変化が差し迫ったものになっていることを示す警告だ――。2日発行の米科学誌「サイエンス(Science)」に掲載された論文で、オーストラリア海洋科学研究所(Australian Institute of Marine ScienceAIMS)の研究者らがこう指摘した。

 AIMSの研究者らは、サンゴの成長速度の減速の原因が、海水温上昇と大気中の二酸化炭素濃度の増加による酸性度の上昇であることを示す確実な証拠があるとしている。

 論文の中心執筆者のグレン・デアス(Glenn De'ath)氏は、「データによると、(サンゴの)石灰化がこれほど激しく急速に低下したのは、少なくともこの400年間では前例がないことだ」と語った。

 今回の研究によると、グレートバリアリーフのサンゴの成長は「転換点」とされる1990年から14%以上も鈍化しており、現在の状態が続くようであれば、2050年には成長は完全に止まってしまう可能性があるという。

 論文の共同執筆者のジャニス・ラフ(Janice Lough)氏は、「(サンゴの成長鈍化は)これまでに観測されている気候変動は比較的穏やかなものであるのに、世界で最も保護・管理が行き届いているサンゴ礁の生態系においてさえこうした変化がすでに確認されているということは、大きな懸念材料だ」

 論文によると、サンゴ骨格はサンゴ礁の生態系の中心となり、数万種類の動植物にすみかを提供するもので、海水が酸性になれば、サンゴだけだはなく、多くの海洋生物に影響が出るという。(c)AFP