【11月30日 AFP】ポーランドで12月1日から開催される国連気候変動枠組条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)第14回締約国会議(COP14)では、温暖化ガス削減の枠組み策定に向けて参加各国が議論を戦わせることになるが、気候変動に対し罪の意識を感じている人々は、償うために何をすべきかすでに考えている。

 専門家によると、二酸化炭素(CO2)を大量に排出している経済大国でも、気候変動に対する取り組みを個人的に始める人が増えているという。

■エコ商品を求める人が増加

「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」の専門家、スーザン・ソロモン(Susan Solomon)氏は、「多くの人が環境に優しい商品を求めており、温暖化ガス削減は実現可能だと確信している。人々が意識し、関与することが肝心だ」と述べた。

 気候に対する意識が高い消費者は、多少費用がかさんでも屋根裏部屋に断熱材を敷いて二重窓を設置し、省エネ性能の高い冷蔵庫や洗濯機を選ぶ。

 また、世界自然保護基金(WWF)などの環境保護団体が環境に優しいと認定する日用品を求める人も多い。あるいは、化学薬品を使用していないオーガニック食品に切り替える人や、地球の裏側から空輸される季節外れの果物や野菜、花などを買い控える人もいるかもしれない。

■カーボンオフセットの効果に疑問

 カーボンオフセットを実行することでも、環境に対する罪の意識は緩和されるかもしれない。

 これは、例えば、休暇で仏領ポリネシア(French Polynesia)のボラボラ島(Bora Bora Island)やモルディブへ往復20時間の旅行する際に排出されるCO2を埋め合わせるために、アマゾンでの植林などのプロジェクトに投資する活動をいう。

 あるニュージーランドの企業は「Climate Change Chocolate」(気候変動チョコレート)という製品名の菓子を、1個売れるごとに55セント(約52円)をカーボンオフセットに使い、平均的な米国人が1日に排出する温暖化ガスを相殺するという触れ込みで、米国のスーパーマーケットチェーン、ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)を通じて販売している。

 しかしながら、環境問題を調査する非営利組織(NPO)「Ecosystem Marketplace」によると、カーボンオフセットを利用して排出されるCO2は4200万トンを超え、2007年の排出量と同等、06年の3倍となっている。2020年までには年間14億トンに達する可能性もある。

 スイス・ローザンヌ大学(University of Lausanne)のオーガスタン・フラニエール(Augustin Fragniere)氏はCO2排出量の算出方法と排出されたCO2を相殺する方法について、カーボンオフセット事業ごとの違いが大きいと指摘する。たとえばパリ(Paris)-ニューヨーク(New York)間の飛行機での移動では、排出量の推定値に3倍の差があるという。

 さらに、ビジネスとして成功しているにもかかわらず、2007年に大気中に排出された100億トンの温暖化ガスと比較して、相殺された温暖化ガスの排出量はほんのわずかだという。

■ライフスタイルの変革を

 ベルトの穴を半分をきつくするより、CO2を大量に排出する生活様式を捨てることが必要だとする声もある。IPCCのラジェンドラ・パチャウリ(Rajendra Pachauri)議長は今年9月、気候変動対策のために肉食を減らすべきだと提言している。

 パチャウリ議長は、1キロの牛肉を生産するためには13キロの飼料用穀物が必要なうえ、牧場を作るために熱帯雨林を伐採すれば、大気中のCO2を吸収する役割を果たしている森林が減ることになると指摘した。

 さらに同議長は、自動車ではなく電車やバイクに乗り、冬の暖房温度を下げ、休暇には南太平洋ではなく近くのキャンプ場に行くことなどを提案した。(c)AFP/Marlowe Hood