【9月30日 AFP】エリザベスさん(53)は、13人の子どもたちをろうそくの明かりのもとで出産したが、最近母親になったばかりの彼女の娘は、もっと「幸運」だった。

 エリザベスさんが暮らすのは、マダガスカルの首都アンタナナリボ(Antananarivo)から西に20キロのAntsahadinta村。2004年に建て直されたこの村の診療所には、民間基金FIDの支援によりソーラーパネルが3枚設置され、最大400ワットを発電することができる。「娘は幸運だわ。少し前まで、夜に出産するときはろうそくを持参しなければならなかったんですから」とエリザベスさん。

 マダガスカルは最貧国の1つで、電気インフラはお粗末だ。マダガスカル電力・水道供給会社(JIRAMA)がカバーしている地域は、全土の43%に過ぎない。2006年の国連(UN)報告書によると、農村部で電気を利用できる人はたったの3%だ。

 診療所の医師は、「(ソーラーパネルを設置して)仕事がやりやすくなりました。出産の80%が夜に行われるから、なおさらです」と話す。

 診療所の各部屋には電球が備え付けられている。ワクチンや医薬品を保管する冷蔵庫を動作させるための「コスト高で騒音を発する」発電機も排除することができた。ただ、いまだに水道が整備されていないという不便さは残る。

 FIDは世界銀行(World Bank)の支援により13億アリアリ(約7700万円)を投じて、全国27の診療所にソーラーシステムを設置する計画だ。(c)AFP/Gregoire Pourtier