【8月20日 AFP】開発途上国では都市部の農地の灌漑に排水が広く使用されている。ストックホルム(Stockholm)で18日に開幕した「世界水週間(World Water Week)」での報告で明らかになった。

 国際水管理研究所(International Water Management InstituteIWMI)が開発途上国の53都市で行った調査では、農業用に処理されていない排水を農業に使用している都市は80%に達し、排水を使用している農地が全農地の半分以上にのぼる都市は70%以上という結果となった。なお、排水は主に野菜とコメの生産に使用されている。

 排水を使った農業は都市部の食糧自給に貢献し、貧困層の生活の糧ともなっているが、作物をナマで食べた場合には健康を害する恐れもあると、報告書は指摘している。

 排水を使った農業が行われているのは、主に中国、インド、ベトナムといったアジアの国々と、サハラ以南のアフリカのほぼ全域、中南米各地で、総面積は2000万ヘクタールに達するという。

 たとえばガーナの首都アクラ(Accra)では、人口の10人に1人にあたる20万人が、排水で灌漑された都市部の農地100ヘクタールで生産される農作物を毎日購入しているという。

 ただし報告書は、排水使用の禁止を求めてはいない。都市部の消費者、農民らに悪影響を及ぼすことになりかねないからだ。その代わり、地元当局には排水の安全な使用の徹底を促し、低コストの細流かんがいの採用、野菜を適切に洗うこと、排水の貯水池を作ることなどをすすめている。(c)AFP