【8月7日 AFP】英ダラム大学(Durham University)の国際国境リサーチユニット(International Boundaries Research UnitIBRU)は6日、各国の国境線を記した北極圏の地図を初めて作成し、公開した。北極圏には天然ガスの鉱床や油田があることから、境界線をめぐっては今後議論が紛糾する可能性を秘めている。

 地図には、合意されている国境線のほかにも、領有権が主張されている地域、今後領有権が主張される可能性がある地域が記されている。現在、北極圏沿岸のロシア、カナダ、米国、デンマーク、アイスランド、ノルウェーが、北極の領有権を主張している。

 ロシアは前年、北極がロシアのものであることを誇示するため、潜水艇を使って、北極点の海底にロシア国旗を埋め、各国の反発を招いた。

 米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)は前月、世界の原油と天然ガスの未発見埋蔵量の5分の1が北極圏に眠っているとする報告書を発表している。

 IBRUのマーチン・プラット(Martin Pratt)氏によると、こうした資源に最も熱い視線を向けているのは、天然ガスのインフラが整備されているロシアだという。

 北極の資源が注目されている背景には、地球温暖化もある。氷が溶けて、北極の資源探査がしやすくなったためだ。「北極の資源開発は、想定よりは進展の方向へと移行しつつある」とプラット氏。

 だが、資源開発は、北極という「世界唯一の環境」の破壊につながるとの懸念も持ち上がっている。(c)AFP