【6月10日 AFP】ブラジルの木材会社Gethalが、アマゾンの熱帯雨林を違法に伐採したとして罰金を科されている問題で、Gethalを買収したスウェーデン生まれの富豪ヨハン・エリアシュ(Johan Eliasch)氏の関係者が7日、AFPの取材に対し、罰金は誤りであり、政治的動機に基づいたものであると反論した。

 ブラジル政府は6日に、Gethalに対して罰金を科すと発表した。エリアシュ氏の関係者によると、Gethal側は、罰金の支払いに応じるつもりは無く、裁判で争う考えだという。

 罰金は、樹木23万本の違法伐採と、アマゾンの同社所有地が認証を受けていなかったことに対するもので、ブラジル再生可能天然資源・環境院(IBAMA)がGethalに対して、4億5000万レアル(約294億円)の罰金を命じた。

 エリアシュ氏の関係者は、「これらの疑惑は誤りであり、ねつ造されたもので、根拠のないものだ」と述べ、エリアシュ氏は熱帯雨林を保護するためにGethalを買収したのであり、伐採はすでに中止されていると話した。

 また、「以前の所有者の経営計画では、熱帯雨林の伐採が決定されていたが、Gethalが罰金を科されたのは、これに従わなかったためだ」と述べた。

 ブラジル当局はGethalへ罰金の通告をしておらず、Gethal側は「徹底的に裁判で争う」つもりだという。

 この関係者は、「IBAMAの判断はばかげている。Gethalは一切の違法行為を行っておらず、一切の危害も加えていない。この問題の本質は政治的な動機であり、(実は)熱帯雨林の外資による所有が問題になっている」と述べた。

 エリアシュ氏は、スポーツ用品メーカーHeadを経営し、ロンドンを拠点に活動する46歳の実業家で、英首相の森林破壊についてのアドバイザーを務め、推計で7億9000万ドル(約830億円)の純資産を保有している。

 また、エリアシュ氏は、英国に拠点を置く自然保護団体クール・アース(Cool Earth)の設立者でもある。クール・アースは、森林保護のためにアマゾンの熱帯雨林を買収する資金提供者を集めることを目的に活動を行っている。(c)AFP