【5月10日 AFP】地球温暖化で気温が上昇し大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が増えるとユーカリの栄養素が減少し、コアラの生息が危うくなるとする研究を、シドニー大学(Sydney University)のイアン・ヒューム(Ian Hume)教授が7日、キャンベラ(Canberra)で開かれた学会で発表した。

 ヒューム教授の研究チームの実験によると、大気中のCO2濃度が高くなるとユーカリの葉の非栄養素や毒素などの余計な物質が増えるという。

 教授によると、これ以上CO2濃度が増えれば、すでに干ばつや開発で生息地を失いつつあるコアラは、ユーカリから十分な栄養を摂取することができなくなってしまう。

 ヒューム教授は「現在のCO2濃度の増加率では現在コアラの生息に適している土地もそう遠くない将来不十分になるだろう。木の種類や森林の構造に変化がなくてもコアラの個体数が今よりも減少することは確実だ」と警告する。

 葉に含まれる栄養素の減少にコアラが適応するには時間が足りないと強調した。(c)AFP