【2月16日 AFP】米マサチューセッツ(Massachusetts)州で開かれている全米科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)の年次総会で15日、地球の温暖化が進むと南極周辺の海水温が上昇し、これまで低温のためこの水域に入り込むことができなかったサメなどの捕食者が移動、生態系が大きく崩れ、南極付近の固有種が脅かされる可能性が高いと、海洋生物学者らが警告した。

 南極付近に広がる低い温度の海水は、過去数百万年にわたって、他の海域では多くの生物にとって捕食者となるサメなどを寄せ付けない役割を果たしてきた。米ロードアイランド(Rhode Island)大学の生物学教授シェリル・ウィルガ(Cheryl Wilga)博士によると、この低い海水温が捕食者を防いだ結果、南極付近の海域に生息する生物は、体が比較的軟らかく、動きがゆっくりとした軟体動物が多いという。

 しかし、過去半世紀ですでに地球の気温は1-2度上昇しており、これからの100年で海水温も上昇、南極付近の海域もサメなどが生息できるようになると指摘。同教授は、一度でも捕食者がこの海域に入ってくれば、南極周辺の海洋生態は完全に変わってしまうだろうと話している。(c)AFP/Jean-Louis Santini