【1月10日 AFP】長引くごみの未回収問題が放火事件にまで発展したイタリア南部のナポリ(Naples)の住民らは、問題の根本は結局「マフィア」にあると考えている。

 確かにそのとおりだが、ごみビジネスの利権に目をつけたマフィアグループは隅々まで組織網を張り巡らせているので問題の解決は一筋縄ではいかないと、訴訟専門弁護士のマッシミラーノ・マロッタ(Massimiliano Marotta)氏は危ぐする。

 同氏によれば、ナポリおよびカンパニア(Campania)州のごみ回収作業会社やごみ処理施設でマフィアが関与していないものはない。中には直接、マフィア組織が運営しているものもあるという。

 元来、マフィアは麻薬密売を主な収益源としていた。しかし、1980年代頃からごみ関連ビジネスが麻薬密売に次ぐ収入源となり、この動きは1990年代に加速した。

 競合他社を押しのけ、安全基準も無視する「エコマフィア」は、イタリア北部から船で搬送した産業廃棄物をナポリ周辺に不法投棄する。未分別の40万トンものごみが大袋につめられ山積みとなっている。放置されたごみからは有害ガスも発生する事態となっている。

 環境アナリストによると、こうした違法ごみビジネスにより、マフィアは年間25億ユーロ(約4000億円)にも上る収益を得ているという。

 しかし、現在、11万トンもの未回収ごみがナポリおよび近郊の路上に放置されている問題は、マフィアだけが原因ではない。ごみ埋め立て処分所が満杯となりゴミ収集が不可能となっていることも原因のひとつなのだ。(c)AFP/ Emmanuelle Andreani