【1月4日 AFP】英国気象庁とイーストアングリア大学(University of East Anglia)は3日、2008年の世界気温は若干低くなるだろうとの予測を示した。

 それによると、太平洋上を覆う強いラニーニャ(La Nina)現象により気温が低くなる見通し。ただし、それでも観測史上最高のトップ10には入るという。

 通年予測でみると、2008年の世界気温は1961-1990年の平均気温である14度を0.37度上回る。これは平均を0.24度上回った2000年以来の最低気温。

 英気象庁のクリス・フォランド(Chris Folland)氏は「エルニーニョ(El Nino)やラニーニャといった現象は、地表温度に著しい影響を及ぼす力を持っている。2008年は、強いラニーニャが気温の低下をもたらすだろう」とする一方で、「それでも、平均気温は2000年に比べれば依然としてかなり高い。ラニーニャ現象が弱まれば、再び温暖化が活発化するだろう」とも指摘した。

 英気象庁とイーストアングリア大学による世界気温予測は、エルニーニョやラニーニャ、温室効果ガスの排出レベルに加え、海面水温への太陽熱の影響と自然変動を考慮して立てられる。

 同大学で気候変動に関する研究チームを率いるフィル・ジョーンズ(Phil Jones)教授は、「確かに予測では2008年が過去7年間で最も涼しくなる見込みだし、2007年の世界気温も1998年に記録した観測史上最高値を上回ることはなかった。だからといって、地球温暖化の問題が消えてなくなるわけではない」とし、警鐘を鳴らす。

「重要なのは温暖化の進行速度だろう。2001-2007年の世界の平均気温は、1961-1990年の平均を0.44度上回り、さらに1991-2000年の平均を0.21度上回っている」(ジョーンズ教授)

 ラニーニャは南米西岸の海面水温が低くなる現象で、世界各地に異常気象をもたらす。エルニーニョは太平洋の海面水温が高くなる現象で、オーストラリアで長期的干ばつを引き起こしたほか、アフリカ北東部の洪水や、2006-07年の冬に南アジアを襲ったモンスーンの遠因となった。(c)AFP