【12月17日 AFP】深刻な電力不足が今後約10年間続くことが予測される南アフリカでは、あふれる陽光と長い海岸線を生かした代替エネルギー源の模索がゆっくりとではあるが、歩みを始めている。

 同国の電力公社エスコム(Eskom)は最近、電力不足の状態が今後7年間続き、南アフリカの経済もその影響を被るだろうとする見解を発表した。同公社は代替エネルギーの開発を急ぐとしているが、太陽光や風力による発電では国内需要の一部分しか満たせないと警告している。

 しかし、環境保護団体アースライフ・アフリカ(Earthlife Africa)は「化石燃料や核燃料を使用しないクリーンな発電」を求めている。

■公社は「太陽光、風力では足りない」

 エスコムはクリーンで再生可能なエネルギーを目指し、長い海岸線がもたらす豊富な風に注目して大西洋岸にウィンドファーム(風力発電地帯)を設ける計画を打ち出している。また、北ケープ(Northern Cape)州の各家庭の電気温水器をソーラーシステムに転換する試験計画も浮上している。

 しかし、エスコムは「需要をまかなうにはほど遠い」と悲観的だ。幹部のBrian Dames氏は、AFPとのインタビューで「将来的にはあくまでも化石燃料や核燃料による発電がメインになる」と強調した。

 同氏は「再生可能なエネルギーは、高くつく。わが国は風に恵まれ、風力発電の技術も持っているため、風にも注目することになるだろう」としながらも、構想中のウィンドファームが最大でもわずか100メガワット、稼働時間も26%程度という点を指摘。「多くのエネルギー集約型ビジネスを誘致したいわが国のような発展途上国が、『風が吹いている間だけ電力を供給する』と言う状態では、どうすれば良いのか」と語り、1年中使えるエネルギーの優位性を訴えた。
 
 だが同氏は、二酸化炭素(CO2)の排出量を制限する必要性については認識している。「将来的には、CO2の排出量に関して罰金が設けられるようになるはず。したがってCO2の排出を抑制できるような方策を今から考えておかねばならない」

■環境保護団体は「再生可能なエネルギーを」

 一方で、アースライフ・アフリカ側は、再生可能なエネルギーの潜在性は非常に大きいとしている。同団体は、独自の調査により、再生可能なエネルギーは2020年までに全需要の13-20%を、2050年までには約70%を供給できると試算する。

 南アフリカは現在、発電の88%を石炭に頼っているが、エスコムは今後20年間で70%にまで減らしたい考えだ。

 原子力発電所については、現在ケープタウン(Cape Town)近郊のKoebergに1基稼働し、国内電力需要の6%をまかなっている。エスコムは、環境保護団体の猛反対にもかかわらず、来年には2基目の建設計画を本格化する予定だ。(c)AFP/Fran Blandy