【12月3日 AFP】インドネシアのバリ(Bali)島で3日から14日まで、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第13回締約国会議(COP13)が開かれる。会議開催を機に、地球温暖化に関するこれまでの取り組みの歴史を紹介する。

●1827年:仏の科学者ジャン・バチスト・フーリエ(Jean-Baptiste Fourier)氏が、大気によって閉じ込められた太陽エネルギーの熱が宇宙に放射されず、地球の表面温度が上昇する現象「温室効果」を初めて研究した。

●1896年:スウェーデンの化学者スバンテ・アレニウス(Svante Arrhenius)氏が、石油、ガス、石炭など化石燃料を燃やすことが二酸化炭素(CO2)排出の要因だと指摘。

●1958年:米の科学者チャールズ・デビッド・キーリング(Charles David Keeling)氏が、大気中のCO2が毎年増加していることを発見した。

●1979年:米科学アカデミー(National Academy of Sciences)は、温室効果が地球温暖化の原因だとする画期的な研究結果を発表。「成り行きを見守るだけの方針」では手遅れになると警告した。

●1988年:国連が、地球温暖化の原因を究明するため「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」を発足。

●1990年:IPCCの第1次評価報告書で、大気中で人間が排出する温室効果ガスの量が増加しており、これにより地球温暖化が起こると予測。

●1992年:国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)がブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で開催された地球環境サミット(リオ・サミット)で採択され、各国に温室効果ガスの自主的削減が呼びかけられた。

●1997年:気候変動枠組み条約第3回締約国会議で、京都議定書(Kyoto Protocol)を採択。第1段階で、先進工業国は2012年までに、温室効果ガス6種の合計排出量を1990年比で5.2%削減することが求められた。複雑な法的拘束力のある規定作りは先の交渉に持ち越された。

●2000年:1990年からの10年は気象観測史上「最も熱い」10年になった。

●2001年:温室効果ガスの最大排出国である米国が、京都議定書から離脱。

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は、地球温暖化に対する科学的見解の一致に疑問が残ると主張し、議定書を批准すれば米国経済の犠牲は多大な一方、巨大な発展途上国が削減目標に縛られないのは不公平だと述べた。

 米国を除く京都議定書署名国が議定書に合意し、批准プロセスへの道が開ける。

●2005年:京都議定書が2月16日に発効。

 スコットランドのグレンイーグルズ(Gleneagles)で開かれた主要8か国首脳会議(G8サミット)の重要課題に地球温暖化が挙げられ、「深刻で長期にわたる課題」と位置付けられた。

 米国はハリケーン・カトリーナ(Katrina)など過去に類をみない自然災害に襲われ、地球温暖化に対する意識が高まった。

●2006年:アル・ゴア(Al Gore)前米副大統領の温暖化問題に関する取り組みを描いたドキュメンタリー映画『不都合な真実(An Inconvenient Truth)』により、地球温暖化が米国の政治議題になった。

 米カリフォルニア(California)州は2020年までに、温室効果ガスの排出を1990年の水準まで削減する計画を発表。同州は自動車メーカー6社に対し、地球温暖化に影響を与えたとして訴訟も起こした。

 世界銀行(World Bank)の元チーフエコノミスト、ニコラス・スターン(Nicholas Stern)氏が「何も対策を行わなければ地球温暖化による被害は、世界の国内総生産(GDP)全体の20%相当に達するだろう」との報告を発表。

 民主党が米国下院の主導権を握り、同党による温室効果ガス削減対策の強化法案提出が可能に。

●2007年:画期的な報告となったIPCCの第4次評価報告書が、地球温暖化に関する証拠が明白であることを示し、懐疑派を一撃。同報告書はさらに、気候変動によって21世紀中に飢餓やホームレス、水質汚染による疾病が拡大すると警告。2100年までに1.8-4度気温が上昇し、海面は少なくとも18センチ上昇すると予測した。

 気候変動は今や政治議題の中心を占めている。2007年はドイツの主要8か国(G8)ハイリゲンダム(Heiligendamm)サミットで主要議題となるほか、国連安全保障理事会での初の気候変動問題に関して討論が行われ、ワシントンでは第1回温室効果ガス主要排出国会議が開催された。ブッシュ大統領も気候変動とエネルギー安全保障が「現代の2大重要課題」だと認めた。

 オランダの環境アセスメント局(Netherlands Environment Assessment Agency)と国際エネルギー機関(International Energy AgencyIEA)の2機関は、温暖化ガス排出量で2006年に中国がすでに米国を追い抜いているか、または07年中に追い越して世界1位となると発表した。

 ゴア前米副大統領とIPCCにノーベル平和賞が授与される。

 12月3日から14日まで、インドネシアのバリ島で国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第13回締約国会議(COP13)が開催される。京都議定書の期限が切れる2012年後の温室効果ガス削減の枠組み作りについて協議する。(c)AFP