【8月30日 AFP】専門家が29日に伝えたところによると、最近絶滅したと推定されていたヨウスコウカワイルカ(Yangtze River Dolphin)が揚子江(Yangtze River)で目撃された。

 ヨウスコウカワイルカ研究の第一人者で中国科学院水生生物研究所(Institute of Hydrobiology、 Chinese Academy of Sciences)のWang Ding氏は、中国東部の安徽(Anhui)省の住民が今月撮影したとされるビデオ映像には、絶滅危惧(きぐ)種に定められている、ヨウスコウカワイルカが泳ぎ回る様子が映し出されている語った。ヨウスコウカワイルカは、地元中国ではBaijiとしても知られる。

 Wang氏はAFPに対し「完全には確認できないが、撮影された生物はBaijiに間違いない」と語っている。

 同氏は2006年、世界中から集まった科学者で構成されたヨウスコウカワイルカの調査チームを指揮したが、生存中の個体は確認できず成果は得られなかった。そして、今月初めには、およそ2000万年前にほかのイルカ類と分化して以来、揚子江に生息してきた同イルカが絶滅した可能性があると話していた。

 Wang氏は、今回の新たな目撃情報により希望が見えてきたとし、ヨウスコウカワイルカが撮影されたとされる場所での調査を計画していると語る。

 今回の目撃情報によって、同イルカの長期生存の希望が再浮上する一方で、専門家は、種の遺伝子プールの変性や絶滅を防ぐには少なくとも50頭のヨウスコウカワイルカが必要だとしてる。(c)AFP