
【8月5日 AFP】英イングランドの北東部。翼を大きく広げた猛禽(もうきん)類のアカトビが、葉で厚く覆われた巣の中でエサを待つヒナのもとに下りてくる。アカトビがこの地域に復活することは最近までは考えられないことだった。
英国で野生動物の保護活動が活発に展開されるようになり、褐色のアカトビがゲーツヘッド(Gateshead)の都市の上空をふたたびせん回するようになった。アカトビがこの地域でヒナを育てるようになったのは実に170年ぶりのこと。
■19世紀末に絶滅したアカトビの復活
1989年、世界の野生動物の保護に関する英国政府諮問機関である共同自然保全委員会(Joint Nature Conservation Committee、JNCC) が、イングランドとスコットランドにアカトビを戻すことを決定した。
1992年にブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で開催された地球サミット(Earth Summit)において159か国が調印した生物の多様性を保護する最初の国際的枠組みとなる生物多様性条約(Convention of Biological Diversity)より3年も前のことだった。この条約は多様な生物種を維持、増大させるために各国が野生動物保護の戦略と行動計画を立案、強化することを求めた。
「Milvus milvus」という学術名をもつアカトビは、19世紀末にはイングランドとスコットランドから消滅した。しかし、今から18年前にドイツ、スペイン、スウェーデン、英国ウェールズから集められたアカトビのヒナがイングランドとスコットランドの農村地帯に放たれ保護活動が始まった。
アカトビの保護区に今年の6月に設置されたウォッチング・ポイントにはすでに8000人が訪れているという。
■アカリスなど1000種も絶滅の危機
アカトビの復活作戦は順調に進んでいるが、英国に生息するそのほかの1000種類の野生動物の運命は決して安泰ではない。ヒトの助けがなければ絶滅の危機に瀕する種が多数存在することが、政府の発表した文書により明らかになった。
その1つがアカリス。ウイルスの伝染を媒介する外来種のハイイロリスにより絶滅の危機に瀕する。
アカリスの保護を目的とする「Save our Squirrels=SoS」は、1種類の野生動物の保護を目的とする団体としては英国最大。減少の一途をたどるアカリスの数を増やすために活動を続けている。アカリスは1800年代の350万匹から、現在は3万匹まで激減している。
1万年前に終わった最後の氷河期以来イングランドに住み着いているアカリスだが、1876年に北米から輸入された体の大きいハイイロリスによって絶滅の危機に追い込まれている。
昨年以来、SoSはイングランド北部に16か所のアカリス保護地区を設定、同時に政府の資金援助も得てハイイロリスの数を制限する取り組みも行っている。(c)AFP/Ben Perry





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