【7月24日 AFP】エクアドルのラファエル・コレア(Rafael Correa)大統領が、偶発的に捕獲したサメのヒレ、通称フカヒレの販売を合法化する大統領令を出したことに対し、環境団体は23日、「大統領令はガラパゴスザメを絶滅の危機にさらす」と非難の声明を出した。

 媚薬や珍味としてアジアを中心に珍重されているフカヒレを入手するため、これまでもサメは違法に捕獲され、漁業関係者20万人がその経済的恩恵を受けてきたという。

 大統領令は、ガラパゴス諸島(Galapagos Islands)の領海外で偶発的に捕獲されたサメに限り、ヒレの販売および輸出を解禁するというもの。意図的なサメの捕獲は今後も禁止される。

 環境活動家は、ガラパゴス諸島で捕獲したサメのヒレを、「別の場所で偶発的に捕獲した」と偽って販売する行為を大統領令が誘発し、ガラパゴスザメ種の絶滅の危険性を高めると警告している。

 一方、エクアドルのマリア・エスピノサ(Maria Fernanda Espinosa)外相は「大統領令はフカヒレ市場を透明化し、闇市場を撲滅して、環境保護に貢献する」と反論。

 フカヒレは闇市場で、エクアドルの他の高級魚と比較して破格の1ヒレあたり50ドル(約6000円)で取引されている。

 ガラパゴス諸島は6月、観光客の増加などによる環境悪化を理由に、ユネスコ(UNESCO)から「早急に保全が必要な『危機遺産リスト』」に指定された。

 エクアドルの沖合1000キロに位置し、特異な生態系を有する19の島々からなるガラパゴス諸島は、1978年、最初の世界遺産(自然遺産)に指定された。(c)AFP