写真は、グリーンランド西岸のディスコ湾(Disco harbour、2005年8月撮影)。(c)AFP/Slim Allagui
【バンクーバー/カナダ 2日 AFP】気象学者らが1日、地球温暖化によってグリーンランド(Greenland)の氷冠が完全に溶けると、世界各地で海面が最大7メートル上昇するとの調査結果を発表した。
■姿を消すグリーンランドの氷床
西部バンクーバー(Vancouver)にあるブリティッシュ・コロンビア大学(University of British Columbia)のGarry Clarke教授によれば、世界最大の氷で覆われた島、グリーンランドでは、海洋に接する部分で氷河が急速に流出しているものの、中央部の氷河に現時点で流出の傾向は見られないという。だが、もし地球温暖化によって凍結高度が上昇すれば、グリーンランドの氷河の流出状況は数千年前の間氷期よりも悪化するとみられる。
Clarke教授は、科学者や報道陣が出席して行われた会合で「グリーンランドの氷床は完全に消え去る可能性がある。そのような状態になるまで、あとどれくらいの期間が残されているのか、現時点では不明」と語った。
■正確な見通しを得るにはさらなる調査が必要
会合に出席した科学者らからは「北極の氷床に関する気候モデルが不十分なため今後さらなる調査が必要」との指摘がなされた。調査データの大半は2基の衛星追跡システムと重力物理学から得られるといい、得られた調査結果は「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)」に報告される。IPCCは5月初旬、新たな報告書を発表することとなっている。
同会合では、国内の大学に所属する科学者で構成されるCanadian Foundation for Climate and Atmospheric Sciencesのメンバーが講演を行った。
議長を務めたGordon McBean氏は「地球温暖化の影響を一番強く受けるのはカナダだろう。北極の氷の流出が海面上昇の鍵を握っているため、世界各国の科学者らが北極の氷に注目している」と語る。同氏は科学者で、連邦政府の元上級公務員だ。
カルガリー大学(University of Calgary)の地理学者、Shawn Marshall氏は「巨大な氷の塊に関する現時点の知識はまだ不十分。
将来的な見通しについては不確かな点が多い」とした上で、「われわれの調査結果が低地国の洪水被害をめぐる予測や、英国がテムズ川(River Thames)に堤防を設置すべきかといったリスク計算に直接的に影響する」と指摘する。
■出席者はカナダ政府の対応を非難
カナダ政府は最近「京都議定書(Kyoto Protocol)で定められた温暖化ガス排出削減目標の達成は不可能」とする発表を行っているが、複数の科学者からは同発表に対する失望の声が上がった。調査主任を務めるトロント大学( University of Toronto)の物理学者、Richard Peltier氏は「まったく不名誉なことだ」と述べた。
McBean氏によれば、研究グループの資金は2010年に底をつくと見られる。政府当局に安定的な財政支援を要請したものの、返答が得られないまま1年が経過しているといい、同氏は集まった科学者や報道陣に対し「新たな活動を始める資金がない」と訴えた。国際的な資金提供機関が北極地域の研究のために資金を提供する可能性について問われるとMcBean氏は、声をあらげて「ほかの国々はカナダよりも科学に貢献している。われわれは主要8か国(G8)の一員なのだから、それにふさわしい行動をとるべきだ」と回答した。
写真は、グリーンランド西岸のディスコ湾(Disco harbour、2005年8月撮影)。(c)AFP/Slim Allagui








