【6月26日 AFP】25日に急死したマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さん(50)は生前、数々の奇行でも話題にことかかなかった。こうしたジャクソンさんを、米国の人びとは「変人」を意味する「ワッコー」と韻を踏んで「ワッコー・ジャッコー(Wacko Jacko)」と呼んでいた。

 ポップス界で頂点を極めたジャクソンさんは、巨万の富を手にし、自分が夢見るファンタジーの世界を次々と現実化していった。例え、それがかなり異色の世界だったとしても。

「億万長者のスーパースターとなったマイケルだったから、あらゆる現実世界からの逃避が可能だった」と、ポップ・カルチャーを専門とするロバート・トンプソン(Robert Thompson)教授は言う。

 ジャクソンさんにまつわる奇行のなかには、虚報もある。

 1986年、酸素吸入器付きの棺の中で寝ているという話や、ゾウのような容姿だった「エレファント・マン」の遺骨の購入計画といった話は、ジャクソンさんが、スキャンダラスな記事を渇望するメディアのために、自らでっち上げたうそだ。
 
 一方、年月とともに、変貌していったジャクソンさんの容姿は、「ワッコー・ジャッコー」の伝説に拍車をかけた。

 肌が次第に色白になっていく理由について、ジャクソンさんは白斑という皮膚病によるものだと説明していたが、世間は肌の脱色手術によるものだと噂した。
 
 1988年に出版した自伝『Moonwalk マイケル・ジャクソン物語(Moonwalk)』のなかで、ジャクソンさんは何度か整形手術を受けたと告白している。

 同じ年、ジャクソンさんはカリフォルニア(California)州で広大な敷地を買い取り、スーパーヒーローの銅像が立ち並び、ビデオゲームで遊び放題という夢のテーマパーク「ネバーランド」を建設した。園内には小型鉄道が走り、ジェットコースターや動物園もある。

 しかし1993年、13歳の少年が性的虐待を受けたとして、ジャクソンさんを訴えた。ジャクソンさんは容疑を否認したが、この事件を機に、ジャクソンさんの栄光は失墜していく。

 私生活では1994年、ジャクソンさんは故エルビス・プレスリー(Elvis Presley)の娘、リサ・マリー・プレスリー(Lisa Marie Presley)さんと電撃結婚したが、2年足らずで離婚。一部では、宣伝目的の偽装結婚と噂された。

 プレスリーさんとの離婚から数か月後、ジャクソンさんは看護師のデビー・ロー(Debbie Rowe)さんと再婚。2人の間には、プリンス・マイケル(Prince Michael)とパリス・キャサリン(Paris Katherine)と名付けられた2人の子どもが生まれた。しかし、1999年、ジャクソンさんはこの2人目の妻とも離婚している。

 その後、ジャクソンさんは2002年、代理母出産で3人目の子ども、プリンス・マイケル2世(Prince Michael II)をもうけた。しかし、ジャクソンさんは同年、ベルリン(Berlin)市内のホテルで、この赤ちゃんを4階客室の窓からぶら下げるという奇行をとり、世界的に大きな非難を浴びた。後にジャクソンさんは、この行為を大いに反省していると語っている。

 さらにジャクソンさんは、2003年にも児童虐待で訴えられ、公判に45分も遅れて出廷したり、裁判所の前で車の屋根に上って足を踏みならし、ファンらに投げキスをするなど、奇怪な行動をとった。2005年6月に無罪となった後は、メディアの前に姿を現すことはほとんどなかった。世界各地を旅行していたとの説もある。

 結局ジャクソンさんは、最期まで大衆の注目を浴びる存在であり続けた。(c)AFP