【4月11日 AFP】2001年の9.11米同時多発テロと、ミッキーマウス(Mickey Mouse)の仮面をかぶった高齢者のコラボレーションともいえる歌劇が、ドイツのエアフルト劇場(Erfurt Theatre)で12日、初日を迎える。

 この歌劇は、ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi)が作曲し1859年に初演となった「仮面舞踏会(A Masked Ball)」を現代風に演出したもの。全幕を通じてミッキーマウスの仮面をかぶった35人の高齢者が登場する。

 劇場の総裁ギー・モンタボン(Guy Montavon)氏はAFPに対し、「とても美しく、詩的なシーンだ」と語る。1つの役に対し、60人の高齢者から出演応募があったという。

 この歌劇が物議を醸すのは今回が初めてではない。当初ヴェルディは、1792年にスウェーデン国王グスタフ3世(Gustavus III)が仮面舞踏会で暗殺された事件を題材にしていた。しかし当時の検閲の結果、作品の舞台を欧州から植民地時代の米国に移すことを要求された。

 オーストリア人監督Johann Kresnik氏が演出を手掛けた今回の歌劇は、場所の設定こそ米国のままだが、時代は9.11同時多発テロ後に設定されている。

「現在の米国社会に対し、やや批判的な内容になっている。貧富の差が激しいことや、戦争を行っていること、行き過ぎ感のある社会であることを批判している」とモンタボン氏は話す。

 エアフルトのある政治家は、作品に対するボイコットを呼び掛けたが、地元の人たちは耳を貸さなかったようだ。モンタボン氏によると、12日の初日を含む5公演のチケットはすべて完売しているという。(c)AFP