【7月2日 AFP】『ハリー・ポッター(Harry Potter)』シリーズでハリーを演じ続ける、若干17歳のダニエル・ラドクリフ(Daniel Radcliffe)。第1作目から6年が経ち、ラドクリフは着実に成長を遂げているようだ。

 映画最新作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(Harry Potter and the Order of the Phoenix)』には、初のキスシーンが収録されているが、プロデューサー、デビッド・ハイマン(David Heyman)氏は、このキスシーンについて、「わたしは見るべきではなかった」と語っている。

■ハリー・ポッター役をつかむまで

 ラドクリフは1989年7月23日、父親アラン・ラドクリフ(Alan Radcliffe)と母親マーシャ・グレシャム(Marcia Gresham)の間に生まれた。幼少期から俳優志望だったが、著作権代理人の父親と配役ディレクターの母親はあまり熱心に考えておらず、彼の初期の演技経験は、学校での演劇に限られていた。
 
 その後1999年に英国放送協会(BBC)が制作した、チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)原作のテレビ映画『デビッド・コパーフィールド(David Copperfield)』で主人公の少年期を演じ、映画出演への道が切り開かれた。

 シリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石(Harry Potter and the Philosopher’s Stone)』のオーディションが行われていた2000年、ハイマンはラドクリフが出演していた演劇の会場で、家族ぐるみの付き合いをしていたラドクリフの両親に遭遇。ラドクリフの演技に好印象を受けたハイマンは、彼の父親に息子をハリー・ポッター役のオーディションに参加させるよう頼んだ。ラドクリフはオーディションを通過し、2001年公開の第1作に主演することとなった。

 ラドクリフは同年、英国人ジョン・ブアマン(John Boorman)が監督した、中米を舞台としたスリラー映画『テイラー・オブ・パナマ(The Tailor of Panama)』で主人公の息子も演じている。

■当たり役以外でも活躍

 『ハリー・ポッター』での名声に加え、ラドクリフは、舞台『エクウス(Equus)』でも批評家の称賛を受けた。この舞台では、馬への異常な執着を見せ、精神科医と激しい関係を持つ青年アラン・ストラング(Alan Strang)を見事に演じている。その他にも、1960年代のオーストラリアを舞台に4人の孤児の成長を描く、9月公開の『December Boys』にも出演している。

■億万長者のハリー・ポッター

 『ハリー・ポッター』の原作者J・K・ローリング(J.K. Rowling)は、シリーズ最終巻『Harry Potter and the Deathly Hallows(ハリー・ポッターと死の秘宝<仮題>)』を7月21日に発売。小説シリーズは64か国語に翻訳され、世界で3億2500万部を売り上げている。また、映画シリーズも世界で35億ドル(約4300億円)の興行収入を上げている。

 ラドクリフは、映画シリーズ残り2作品『ハリー・ポッターと謎のプリンス(Harry Potter and the Half-Blood Prince)』と『Harry Potter and the Deathly Hallows』への出演契約も結んでいる。この2作品はそれぞれ、2008年、2009年に公開される予定だ。

 サンデー・タイムズ(Sunday Times)紙が発表した2007年度長者番付によれば、ラドクリフの資産は既に推定1700万ポンド(約42億円)。

 ラドクリフはハリー役を演じることについて、「素晴らしい特権」だと語り、「ハリー役とこのシリーズを長年支えてきてくれたファンへの忠誠を強く感じている」と加えた。

■大学入学めざして勉強中、俳優の手本はゲイリー・オールドマン

 名声と幸運に恵まれながらも、ラドクリフは学業を続け、シリーズ第1作撮影時から家庭教師をつけている。大学入学資格取得のために、宗教学、哲学、英文学、歴史を学んでいるという。

 さらに、共演者ゲイリー・オールドマン(Gary Oldman)の大ファンというラドクリフは、6月に行われた記者会見で、オールドマンを模範としていると明かしている。

 オールドマンと比肩するほどの経歴を積めるかはさておき、ラドクリフは自力で映画俳優となり、ファンの前で成長を続けているといえるだろう。(c)AFP/Prashant Rao