【5月31日 AFP】ハリウッドでやりたい放題をしてきた若手女性セレブたちに、厳しいつけがまわってきた。まもなく刑務所に入るパリス・ヒルトン(Paris Hilton)、警察への出頭を再び命じられたニコール・リッチー(Nicole Richie)、先日飲酒運転で事故を起こしたリンジー・ローハン(Lindsay Lohan)。

■リンジー・ローハンの場合 

 現在20歳のリンジーは29日、アルコール依存症治療のためのリハビリ施設に入院した。入院のわずか3日前の26日には、飲酒運転容疑で警察に出頭を命じられたばかりだった。その事故の際に車内から違法薬物が発見されたため、重い罪で起訴される可能性もあると、警察が発表している。前科がないことが判決を有利にする可能性はあるが、有罪となれば服役することになる。裁判所には8月24日に出頭する予定だ。

■パリス・ヒルトンとニコール・リッチー

 パリスは罪を免れず、免許停止中の運転の罪で、45日間の禁固刑判決を受け、6月5日に服役することになっている。服役態度がよければ減刑される可能性がある。

 ヒルトンの次に刑務所へ入るのは、飲酒運転容疑の公判が間もなく開かれるニコールだろう。歌手ライオネル・リッチー(Lionel Richie)の養子であるニコールは、2003年にも同様の容疑で判決を受けており、カリフォルニア州法では、再犯者の服役が義務づけられている。
 
■ハリウッドに受け継がれる悪習

 米国シラキュース大学(Syracuse University)で、ポップカルチャーを教えるロバート・トムソン(Robert Thomson)教授は「この手のことはハリウッドでは目新しくありません。歴史を振り返っても、セレブの態度が悪いことは珍しくなく、今後も変わらないでしょう」と語る。

 俳優のロバート・ダウニー・Jr.(Robert Downey Jr.)は90年代に、薬物使用で服役し、同じく俳優のクリスチャン・スレイター(Christian Slater)は1997年、アルコールとヘロインを摂取した状態で恋人を暴行し服役した。

 飲酒運転で2006年に逮捕された俳優のメル・ギブソン(Mel Gibson)は、逮捕時に反ユダヤ主義的な発言をした。

■一般人をあおる、セレブの行動

 「一般人はセレブの行動から影響を受けます。常に注目を集め、豊かな経済力持ち、自分の気まぐれで他人を振り回すようなセレブの行動にです」「セレブは、彼らの“現実”を見破られないよう大衆から距離をとっています」とトムソン教授。

 フリーのゴシップ・コラムニストJoel Stratte McClure氏は、ロサンゼルスを「誘惑の国」と呼び、「セレブはあらゆるものを手に入れることができると思っている」と語った。

■セレブをめぐる報道の過熱

 一方で、セレブが起こす事件が現在相次いでいるのは、報道の加熱によるところが大きいともいえる。ブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)が今年2月、アルコール依存症のためのリハビリ施設入所前に、頭髪をすべて剃ってしまった事件の報道が良い例だ。

 トムソン教授は、セレブたちは失敗を許されず、あらゆる言動がネット上のブログで細かく分析されているとし「エンターテインメント・ニュースの分野は取材競争が激しく、この追跡を免れることができるセレブはいないと皆が感じていると思います」と語った。

■若者への影響

 米国に住む20代前半の若者にとって、競争の激しい生活は困難なものだ。その状況を、セレブたちがさらに悪化させている、とMcClure氏は語る。若者はセレブから、アルコールや薬物に関する悪い影響を受けているのだ。

 若者へ注意を促すきっかけとなる例は、大ヒットTVドラマ「プリズン・ブレイク(Prison Break)」に出演していたレイン・ギャリソン(Lane Garrison%%)の事件だ。ギャリソンは、飲酒運転中に死亡事故を起こし、過失致死罪を認めている。

 「ギャリソンは自分が犯した間違えを素直に認め、刑務所へ入ろうという心構えがあります。特別扱いを期待し、世界は自分の思いのままになると思っているようなセレブとは違うのです」(c)AFP