【2月28日 AFP】国際的に有名な米国のピアニスト、ヴァン・クライバーン(Van Cliburn)氏が27日、死亡した。78歳。同氏の財団が明らかにした。

 冷戦中だった1958年に旧ソビエト連邦のモスクワ(Moscow)で開催された第1回チャイコフスキー国際コンクール(International Tchaikovsky Competition)に出場し、優勝を収めたクライバーン氏(当時23歳)は、数十年にわたって続いていた東西のイデオロギーの対立と核の脅威を超越した存在として、文化使節としての高い評価を受けてきた。

 旧ソ連が自国の文化的優位性を強調する狙いで行った同国際コンクールで優勝したクライバーン氏を、米国民は紙吹雪の舞うパレードを行い、英雄として大歓迎した。その半年前に旧ソ連が人類初の人工衛星「スプートニク(Sputnik)1号」の打ち上げに成功したことで、米国が受けた屈辱を一時的に忘れさせてくれたのだ。

 クライバーン氏は、ハリー・トルーマン(Harry Truman)大統領以降のすべての米大統領の前で演奏を披露した。冷戦末期の1987年にホワイトハウス(White House)で開いたリサイタルは、ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)大統領と旧ソ連のミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)大統領(いずれも当時)も鑑賞した。

 クライバーン氏の財団は、「(今年)5月に行う第14回クライバーン国際ピアノコンクールは、同氏に捧げる大会になる」と話している。(c)AFP