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トイピアノにぞっこん、フィリス・チェンが語る奥深い音楽世界

  • 2012年01月13日 21:02 発信地:ニューヨーク/米国
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米インディアナ州プレインフィールド(Plainfield)で、トイピアノとともにカメラに収まるトイピアニストのフィリス・チェン(Phyllis Chen、2009年撮影)。(c)AFP/KIMONO PHOTOGRAPHY

【1月13日 AFP】形はグランドピアノと同じでも、子供サイズで、片手で持ち上げることだってできる。そんな「トイピアノ」との出会いが、クラシックピアノに幼少時から親しんできたフィリス・チェン(Phyllis Chen、33)の人生を変えた。

 トイピアノとの出会いは21歳のとき、米シカゴ(Chicago)のパペットシアター(人形劇場)でのことだ。セットの一部だった小さなピアノに近づき、音を鳴らしてみた。「鍵盤に触れた瞬間、その音のとりこになりました」とチェンは振り返る。

 この小さなピアノに並外れた潜在力を感じたチェンだったが、腱鞘炎でクラシックピアノが全く弾けなくなった際、本気でトイピアノと向かい合い、鍵盤の軽いこのピアノがリハビリにも役立つことを発見した。演奏だけでなく、今や作曲も手がける。革新的な音楽を追求する演奏家集団「International Contemporary EnsembleICE)」の設立メンバーでもある。

■河合拓始ら新世代も登場

「スヌーピー(Snoopy)」で有名な米人気コミック「ピーナッツ(Peanuts)」の中で、「シュローダー(Schroeder)のピアノ」として描かれるトイピアノ。「キンダークラビーア(子ども用ピアノ)」とも呼ばれ、現代モデルの起源は19世紀後半にさかのぼる。

 ドイツから米フィラデルフィア(Philadelphia)に移民してきたアルベルト・シェーンフート(Albert Schoenhut)が1872年、従来のガラス製トイピアノではなく、子供に安全な金属製の初代モデルを製作。トイピアノメーカー「シェーンハット」を設立した。

 チェンは、トイピアノの地位向上にも熱心に取り組んでいる。毎年開催しているトイピアノのための作曲コンテスト「UnCaged Toy Piano Composition Competition」は2011年、ニューヨーク・マンハッタン(Manhattan)での3日間の音楽祭にまで発展。チェンの他、マーガレット・レン・タン(Margaret Leng Tan)や河合拓始(Takuji Kawai)といったトイピアニストらが観客を酔わせた。

 コンテストで優勝を重ねてきたタンは、「全く新しい世代のトイピアニストたちが誕生している。トイピアノは音楽の新ジャンルとして確立された」と語り、ルクセンブルクで今年トイピアノ・サミットが開催予定だと教えてくれた。

 チェンが掲げるコンテストの目的は、ジョン・ケージ(John Cage)やジョージ・クラム(George Crumb)といった傑出した才能を生みだしながらも、偉大な作曲家には無視され続けてきたトイピアノのために、新しい音楽を創出することだ。

■「トイピアノは自分を伝統から解放してくれる」

 グロッケンシュピール、ハープシコード、ベル、そして携帯電話の着信音にも並び称されるトイピアノの特異な音は、今でもチェンを魅了する。

 トイピアノにはさまざまなサイズがあるが、チェンが持ついちばん小さなモデルは鍵盤が10個しかない。だが、その演奏には制約を感じるどころか、何世紀にもわたる伝統や88個の鍵盤を持つピアノが生み出す音楽から解き放たれたように感じると言う。

「普通のピアノを弾いている時は、なかなかフレッシュな気分にはなれません」とチェン。「でも、トイピアノだと、生まれたばかりの曲を弾いているような感覚をおぼえるのです。紡ぎ出される曲は現代の言語であり、先入観といったものも全くありません」 (c)AFP/Jennifer Weiss

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