【3月26日 AFP】第2次世界大戦開始以降、行方が分からなくなっていた19世紀ロマン派音楽の巨匠フレデリック・ショパン(Frederic Chopin、1810.3.1-1849.10.17)直筆の6通の手紙が発見された。24日、ポーランドの首都ワルシャワ(Warsaw)にあるショパン博物館(Chopin Museum)が発表した。

 6通の手紙は1845年から、ショパンが39歳でフランスに没する前年の1848年までの間に、ポーランドにいる家族に宛ててポーランド語で書かれたもの。発信地はパリと、ショパンと同棲していたジョルジュ・サンド(George Sand、本名アマンティーヌ・オーロール・デュパン、Amandine Aurore-Lucile Dupin)の出身地である仏中部ノアン(Nohant)の2か所になっている。普段の暮らしぶりについて綴っている他、ショパンとしては珍しいピアノ作品以外の楽曲、「チェロソナタ ト短調」(1846年)についても触れている。

 発見された手紙は1932年以来、初めて今週、ショパン博物館で公開される。学芸員のアリツィア・クナスト(Alicja Knast)氏によると、手紙は1939年にワルシャワで所在が確認されたのを最後に行方が分からなくなっていた。

 この1939年はショパンに関する文書のコレクション管理を行っていたショパンの又姪、Laura Ciechomskaが77歳で亡くなった年で、同年ナチス・ドイツ(Nazi Germany)によるポーランド侵攻を引き金に第2次大戦が勃発した。ドイツによる6年間の占領を通じて、ポーランドの他の貴重な文化遺産同様、ショパンの手紙も行方不明になってしまった。

 博物館では2003年に手紙が存在しているという情報をつかみ、メキシコ在住40年のポーランド人美術商マレク・ケラー(Marek Keller)氏の助けを得て、手紙を所有者していた人物からの入手に成功した。それまで手紙を所有していた人物は氏名の公表を伏せている。

 今回は6通の直筆書簡の他、ショパンの姉のルドヴィカ・イェドルジェウィッツ(Ludwika Jedrzejewicz)や、ショパンに師事したスコットランド人、ジェーン・スターリング(Jane Sterling%)がショパンに宛てた書簡も一緒に公開される。

 スターリングの書簡はショパンの死後書かれたもので、ショパンの音楽的遺産の保護や遺物の保管に関する努力について触れている。今月上旬、ポーランドの収集家がショパンの死の直後に撮影された写真を発見したと発表したが、この写真の撮影を依頼したのはスターリングだと考えられている。

 ショパン博物館での公開は4月25日までを予定している。(c)AFP

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