【6月11日 AFP】第13回バン・クライバーン国際ピアノコンクール(Van Cliburn International Piano Competition)で日本人として初めて優勝した辻井伸行(Nobuyuki Tsujii)さん(20)のアルバムの国内売り上げが急激に伸びている。インターネット小売り大手アマゾン(Amazon)が10日、明らかにした。

 2007年発売のアルバム『Debut』が、歌手福山雅治(Masaharu Fukuyama)さんのアルバムを押しのけて2位にランクインしたほか、別のアルバムも現在5位にランクイン。以前は上位50位にも入っていなかったが、優勝報道の後で急上昇した。これだけ短期間に売り上げが伸びるとは信じがたい、とアマゾン広報担当者は話す。『Debut』には、自作曲5曲などが収められている。

 辻井さんは、生まれつき全盲。米テキサス(Texas)州フォートワース(Fort Worth)で7日に開催されたコンクールで、アジア人として、また全盲者として初めて優勝した。

 7歳の時に初めてコンクールで優勝。10歳で大阪センチュリー交響楽団(Osaka Century Symphony Orchestra)と共演を果たした後、欧米などで海外公演も行った。

 都内で10日開かれた帰国会見で、辻井さんは「ピアノは友だちみたいな存在」と語り、幼いころからピアノが大好きで、ピアノがおもちゃ代わりだったと話した。どこに旅行に行っても、毎日ピアノを弾かないと落ち着かないという。人前での初演奏は、米サイパン(Saipan)のショッピングセンターだったそうだ。

 辻井さんは都内の上野学園(Ueno Gakuen)大の学生。演奏するときは色をイメージし、どの色がどんな曲に合うのか考えるという。青やオレンジが好きだという。

 もし1日だけ目が見えるとしたら何を見たいかとの質問には、「今は心の目で見ているので十分満足しています」と笑顔を見せた。(c)AFP