【7月24日 AFP】現在ミニ・ワールドツアー中の米ファンク・ソウル・ロックバンド、スライ&ザ・ファミリー・ストーン(Sly & The Family Stone)は23日、パリのオリンピアホール(Olympia Hall)でコンサートを行った。

 64歳のスライ・ストーン(Sly Stone)は、前週スイスで開催されたモントルー・ジャズフェスティバル(The 41st Montreux Jazz Festival)のステージに登場してわずか20分で演奏を終え、続いて行ったニース・ジャズ・フェスティバル2007(Nice Jazz festival 2007)での公演では、4曲半しかパフォーマンスしなかった。

 今回のツアーは、70年代の代名詞でしばらく俗世を離れていたスライのカムバック・ツアーだが、パフォーマンスは短時間で途中で中断されるなど、幸先の悪いスタートとなった。

 予測不可能で熱しやすい性格という彼の定評どおり、開始10分後彼はステージから立ち去ってしまったので、残された彼のバックバント、ファミリー・ストーンはその間観客を楽しませた。30分後、大きなサングラスとベースボールキャップをかぶった浮かない顔のスライは再びステージに現れ、もう10分歌ってニースでステージを後にした。

 スライ&ザ・ファミリー・ストーンは1967年に活動開始し、1度見たら忘れられないライブ・パフォーマンスとファンクやゴスペル、サイケデリック・ロック、ジャズを融合した力強い音楽でスターの座のし上がった。
ヒット曲には『Stand!』、『Everyday People』や『Family Affair』などがあり、デビューして30年経った今でも昔と変わらずラジオで流されている。

 1970年半ばになると、スライ・ストーン(本名:シルヴェスター・スチュアート、Sylvester Stewart)は、彼の独創的な一連のアルバムと同様に風変わりな行動が知られるようになった。数年間ドラッグ漬けの日々を送った後、80年代半ばになって姿を消し、元バンド仲間でさえもどこにいるのか知らないところでほぼ20年間人目を避けて過ごした。

 彼は復帰ツアーを発表する前の2006年グラミー賞(The Grammy Awards)で、スポーティな金髪のモヒカン頭でパフォーマンスでを披露して再登場を果たし、人々を大いに驚かせた。

 最近のコンサートにおけるスライは、長年のドラッグ乱用と精神的な問題で衰弱してしまっていて、1969年のウッドストック・フェスティバル(Woodstock festival)や、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)との共演した際の爆発的なスライからは程遠い。

 一方、バックバンドのファミリーストーンは、オリジナルメンバーはトランペット奏者シンシア・ロビンソン(Cynthia Robinson)だけを残して世代交代をし、年齢層が若くなってきている。

 19日のニース・ジャズ・フェスティバル2007に登場した彼のパフォーマンスを見たファンたちは、ヒット曲『If you want me to stay』の演奏を晴れやかに始めたにもかかわらず、年老いたエンターテイナーという印象を受け、「彼も人生いろいろあったんだよ」とファンは話している。

 今月はじめに開始した同ツアーはイタリア、スイス、フランス、そしてスペインと英国でも公演が予定されている。

(c)AFP/Christophe Cheynier