【7月2日 AFP】故ダイアナ元妃(Princess Diana)の追悼コンサートが1日、ロンドンのウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で開催され、6万人以上のファンが集まる中、数々のスターがステージを飾った。コンサートのとりはエルトン・ジョン(Elton John)が務めた。英国内では前日からテロ警戒レベルが最高段階に引き上げられており、コンサート当日も警察が厳戒態勢で警備に当たった。

 追悼コンサートはダイアナ元妃の長男ウィリアム(Prince William)王子と、二男のヘンリー(Prince Henry)王子が主催。6時間にわたる豪華絢爛なコンサートを亡き母にささげた。故ダイアナ元妃は存命であれば今週末で46歳だった。両王子はショーが始まる前にステージに上がり、ヘンリー王子が「ハロー、ウェンブリー!」と呼びかけて会場を盛り上げ、ウィリアム王子はコンサートの趣旨について「母が生涯愛したすべてのもの、音楽、ダンス、愛、家族、そして友人のため」のものと語った。

 元妃と親しかったエルトン・ジョンは、写真家のマリオ・テスティーノ(Mario Testino)が撮影した故ダイアナ元妃の巨大なモノクロ写真の垂れ幕に向かって、自身のヒット曲『Your Song』を歌った。

 また、元妃が生前ファンだったデュラン・デュラン(Duran Duran)とスーパートランプ(Supertramp)も参加した。

 エルトンはショーの最後を、1997年の葬儀で歌った『Candle In The Wind』の演奏で締めくくるだろうとのうわさもあったが、実際は『Are You Ready』が披露された。

 安全面での懸念はあったが、ファンもスターも同様に元妃の生涯を称賛する決意でコンサートに参加。コンサートは現地時間午後10時15分に終了した。

 ロンドン北東部のサフォーク(Suffolk)から参加したサム・ミッチェルさん(Sam Mitchell、32)は、「(追悼コンサートには)ダイアナ元妃が生前ファンだった多くのバンドが参加しており、故人もきっと喜んでいるだろう。本当に良い贈り物だ」と語った。

 前月29日にはロンドンで連続車両爆弾テロ未遂、続いてグラスゴー(Glasgow)空港に炎上した車両が突入する事件が発生したことを受け、英国内では特別警備態勢が敷かれている。政府は同月30日、テロ警戒レベルを最高レベルの「クリティカル」に引き上げた。「クリティカル」は、新たな攻撃がすぐにでも発生する恐れのある「切迫した」状態を意味する。

 この追悼コンサートはテロ攻撃の標的になる恐れがあり、ロンドン警視庁では同市中心部での爆弾テロ未遂事件を受けて対応を協議してきた。ロンドン警視庁の広報官は「このイベントの警備体制について、警備対策本部で徹底的に検討した」と語り、約450人を配備し、適切な警備態勢を取る考えを示していた。

 6月21日に25歳の誕生日を迎えたウィリアム王子は、コンサート前夜(6月30日)の準備を見学した際、このイベントが「信じられないほど素晴らしい」音楽の夕べになるだろうと予感したという。

 慈善活動家であったことで知られる故ダイアナ妃。とりわけエイズ(AIDS)患者や地雷被害者のために尽くした。コンサートの利益は元妃の遺志と、2王子も支援する慈善活動に寄付される。

 コンサートには、ステイタス・クォー(Status Quo)、ロッド・スチュワート(Rod Stewart)、米国人ラッパーのカニエ・ウエスト(Kanye West)、英国人歌手ジェイムス・モリソン(James Morrison)、ナターシャ・ベディングフィールド(Natasha Bedingfield)、リリー・アレン(Lily Allen)、米国ロックバンドのオルソン(Orson)や英国ポップグループのザ・フィーリング(The Feeling)など、20組以上の演奏家たちが参加した。

 英国人歌手のブライアン・フェリー(Bryan Ferry)と米国人ラッパーのファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)も登場し、作曲家のアンドリュー・ロイド・ウェバー(Andrew Lloyd Webber)は自身のミュージカル・メドレーを披露し、English National Balletは『白鳥の湖(Swan Lake)』から一場面を演じた。

 故ダイアナ元妃は1981年、王位継承者のチャールズ皇太子(Prince Charles)と結婚したが、1992年に別居した後、1996年に離婚していた。

 元妃は1997年8月31日、パリで自動車事故に遭い、恋人ドディ・アル・ファイド(Dodi Fayed)氏と、運転手のアンリ・ポール(Henri Paul)氏とともに死亡した。(c)AFP