【8月30日 AFP】スペースシャトルの船外活動中に宇宙の無重力空間に取り残される宇宙飛行士を描いた3DのSFスリラー映画『ゼロ・グラビティ(Gravity)』で共演するジョージ・クルーニー(George Clooney)とサンドラ・ブロック(Sandra Bullock)が28日、第70回ベネチア国際映画祭(Venice International Film Festival)のオープニング上映後に会見し、役作りの裏話などを語った。

 医療エンジニアのライアン・ストーン博士(Dr. Ryan Stone)を演じるサンドラ・ブロックは、実際に宇宙飛行士たちが滞在している国際宇宙ステーション(International Space StationISS)に電話をかけ、アドバイスを得た。「ISSに留守電メッセージを残したら、かけ直して来てくれた。(役作りの上で)ものすごく助かったわ。なぜ宇宙飛行士という仕事を彼らが選んだのかや、地球を越えたものへ彼らが抱く愛情などについて、内的な視点を私に与えてくれた」

 一方、ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(Matt Kowalsky)を演じるクルーニーは「ヨガをやって、一杯ひっかけてから撮影に行っていたよ」と無重力状態の演技にジョークを飛ばし、「せりふを速く(普通に)しゃべりながら、動きだけを宇宙にいるときのようにゆっくりするのが一番難しかった」と語った。

 SFアクション映画「トゥモロー・ワールド(Children of Men)」で知られるメキシコ出身のアルフォンソ・キュアロン(Alfonso Cuaron)監督の今作は、隕石(いんせき)の衝突でスペースシャトルが大破し、地球との交信手段を一切失って宇宙の暗闇を漂う2人の視点をヘルメットの内側から撮影し、観客を不安と恐怖に陥れる。

 キュアロン監督は「逆境についての映画を撮りたかった。スペースシャトルの残骸はメタファー(隠喩)だ。映画から物語性をできるだけ剥ぎとっていったらどうなるか、非常に過酷な状況下で旅を続ける2人のストーリーは、観客が自分の事と関連付けられるメタファーなのだ」と述べている。

 2人は絶望的な状況下でも地球への帰還に希望をつなぐ。クルーニーは「逆境を乗り越えて無事に地球の表面に足を着けるということが、どれほどとてつもないことか分かる」ことが、この映画の重要なメッセージだと語った。(c)AFP/Ella Ide