【1月23日 AFP】中国での公開が始まったばかりの映画「007」シリーズ最新作『007 スカイフォール(Skyfall)』にファンからいらだちの声が集まっている──中国当局による検閲で複数のシーンがカットされていたことが原因だ。

 21日に公開が始まったばかりの『007 スカイフォール』。英俳優ダニエル・クレイグ(Daniel Craig)演じるジェームズ・ボンド(James Bond)が活躍する同映画は、一部撮影が上海(Shanghai)で行われた。多くの国では2012年に公開されたが、中国当局が国産の映画を優遇することを理由に公開が遅れていた。

 当局によりカットされたのは主に中国に関する数シーン。スウェーデン人俳優オーラ・ラパス(Ola Rapace)演じる「殺し屋」が上海の高層ビルで警備員を排除するシーンや、中国の特別行政区マカオ(Macau)での売春を描いたシーン、さらにはスペイン人俳優のハビエル・バルデム(Javier Bardem)演じる悪役が中国の治安当局から拷問を受けたと語るシーンなどが削除された。

 中国当局による検閲に人々はインターネット上で怒りの声を上げており、あるユーザーは中国で多く出回っている「海賊版DVDを見たほうがましだ」と嘆いている。

 中国当局は、国内での公開許可を出す映画についての厳しい規制を敷いており、社会不安の要因となる可能性がある現代の政治や時事問題に関するネガティブな描写を禁じている。2012年に公開が許可された外国映画の数は前年の20本から34本に増えたが、中国国内で製作された映画は893本に上った。(c)AFP