【12月12日 AFP】(写真追加)俳優クリスチャン・ベイル(Christian Bale)は11日、北京(Beijing)で行われた南京虐殺を描いた主演作『ザ・フラワーズ・オブ・ウォー(原題、The Flowers of War)』の記者会見に出席し、同作品は反日のプロパガンダ映画ではないと主張した。

 ベイルはチャン・イーモウ(Zhang Yimou)監督がメガホンを取った本作で、南京(Nanjing)に進攻した日本軍の残忍な略奪行為から少女や売春婦らを守ることになる米国人を演じている。

 製作費9000万ドル(約70億円)をかけた2時間半にわたる本作は、中国軍と日本軍の戦闘シーンや、日本兵による中国人女性のレイプや殺害のシーンが多い。中国では16日に公開される。

 中国には、反日感情で国をまとめようとする映画やテレビ番組があり、中国共産党は世界での同国の存在感を高めようと映画産業に力を入れている。

 しかしベイルは、撮影に入る前は南京虐殺についてほとんど知らなかったと語り、この作品は日本の過去の暴力行為を描いただけの映画ではないと訴えた。

「人間を描いた作品だ。人間の危機に対する反応の本質や、危機に直面した人間がどのようにして野獣のような行動を取り、また逆にどのようにして最も高潔な行動へと出るのかが描かれている」

 ベイルはさらに、この作品を「プロパガンダ」だと表現するのは間違っていると話した。

「そんなのは、お決まりの反応だ。そういう反応をする人は、この映画を十分理解していないと思う」

■オスカー獲得なるか?

 前回のアカデミー賞(Academy Awards)で助演男優賞を受賞したベイルの主演は、本作のオスカー獲得への後押しとなっている。

 本作は、米国では23日に、ロサンゼルス(Los Angeles)、ニューヨーク(New York)、サンフランシスコ(San Francisco)で限定公開され、来年のアカデミー賞外国語映画賞のノミネートに向けた条件は満たすことになる。

 しかしこれまで、中国人監督がアカデミー賞の主要部門で受賞したことはない。(c)AFP/Jonathan Landreth