【11月1日 AFP】現在、ローマ(Rome)で開催中の第5回ローマ国際映画祭(Rome Film Festival)で10月30日、フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)監督作『甘い生活(La Dolce Vita)』(1959年)のデジタルリマスター版が上映された。上映会に出席したマーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督は、同作品は映画界のターニングポイントとなり、映画製作の決まり事を刷新したと語った。

「私の頭の中では、(映画は)『甘い生活』の前か後かで分かれる。この作品は原則を打ち破った」

 このように語ったスコセッシ監督は、『ベン・ハー(Ben Hur)』や『スパルタカス(Spartacus)』に言及し、『甘い生活』が登場するまでの1950年代は壮大な映画が主流だったと述べた。

『甘い生活』は、マルチェロ・マストロヤンニ(Marcello Mastroianni)演じる記者がローマで過ごした退廃的な1週間を描いている。

 スコセッシ監督は、「ストーリーも筋書きもないが、それでも映画は3時間続く。フェリーニは、はっきりした映画は作らなかった」と述べ、堕落していく姿やラストシーンのその表情などマストロヤンニのキャラクターが最も好きだと話した。

 スコセッシ監督も『タクシードライバー(Taxi Driver)』や『(Goodfellas)』など、米国人の暮らしのダークサイドを辛らつに描いた作品で知られている。(c)AFP