【5月14日 AFP】第63回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)は13日、コンペティション部門に出品されたマチュー・アマルリック(Mathieu Amalric)監督(仏)の『Tournee』が上映され、レッドカーペットに米国人ストリッパーたちが巨乳を揺らしながら登場した。

 脱色したブロンドヘア、長い付けまつげ――。ハリウッドの大物たちに混じって登場した彼女たちは、この映画に出演した本物のストリッパーたちだ。

 ダーティー・マルチニ(Dirty Martini)、ミミ・ル・ミュウ(Mimi Le Meaux)らは当初、出演者に演技指導をするのだとばかり思っていたという。アマルリック監督が自分たちを主役にしたがっていることを知ったのは、フランスに来た後だった。

「舞踏会に行くシンデレラのような気分だわ」と、レッドカーペットを歩いた感想をル・ミュウは話した。

■売れないダンサーたちの挑戦を描く「女性の物語」

 映画の主人公は、体型は下り坂だが心はピカピカの売れないストリップダンサーたち。フランスのうらぶれた海岸の街を巡回する日々だが、花の都パリで公演する夢を捨てきれず、1940年代のキャバレーに着想を得た「ニューバーレスク」を編み出す。

 ニューバーレスクとは、奇抜なダンスあり、風刺劇あり、ショーに携わる女性たちに関することなら何でもあり、といったもの。男性優位で性に関する強迫観念にとりつかれているように見えるショービジネス産業に対抗するショーだ。

 マルチニは記者会見で、「これは正真正銘、女性の映画。バーレスクはステレオタイプをぶち壊すためのものだったのです」と語った。

 ダンサーとそのマネージャーの物語は、本物のストリッパーたちがふと見せた愉快なシーンや彼らのステージパフォーマンスのシーンを織り交ぜながら進行していく。

 アマルリック監督はこの映画の撮影後、コメディ・フランセーズ(Comedie Francaise)の役者らと映画を作る機会があった時に、役者らにこの映画を見せ、「本物の役者」とはどういうものかを勉強させたという。

 ちなみにアマルリック監督は、映画監督としてより『007/慰めの報酬(Quantum of Solace)』の悪役としての方が有名だ。『Tournee』にも、「バーレスク・ツアー」を主催するみすぼらしいフランス人の興行主役で出演している。(c)AFP

【参考】レッドカーペットの動画はこちらから(Youtube/AFPBBチャンネル)