【3月1日 AFP】アカデミー賞授賞式を1週間後に控え、作品賞の最有力候補とみられる『ハート・ロッカー(The Hurt Locker)』のプロデューサーがアカデミー賞の規定に違反する行動を取っていたことが判明し、物議を醸している。

 イラクの首都バグダッド(Baghdad)で活動する爆発物処理班を描いた同作は、オスカー前哨戦と言われる各賞を受賞し、アカデミー賞作品賞の最有力候補と言われてきた。

 しかし、同作のフランス人プロデューサー、ニコラス・シャルティエ(Nicolas Chartier)氏が、アカデミー賞の厳格な規定を破り他候補を非難する行動を取っていた事が明らかになり、オスカー受賞に暗雲が漂っている。

 シャルティエ氏は、オスカーの投票権を持つ映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and SciencesAMPAS)の会員に、「5億ドルの映画」ではなくて『ハート・ロッカー』に投票するよう呼び掛けるメールを送った。これは、ライバル候補の『アバター(Avatar)』を攻撃する内容で、他候補の非難を禁止したアカデミー賞の規定に違反している。

 当のシャルティエ氏はその後、「不適切で愚か」だったとしてメールについて謝罪した。

 AMPASの広報担当者は、シャルティエ氏に対する懲罰の可能性と、懲罰を与える場合はどのようなものなのかについてはコメントしなかった。

 解説者たちは、「ハート・ロッカー」関係者の授賞式への出席拒否や、作品賞ノミネートの取り消しなどの制裁措置もあり得ると推測する。

 しかし評論家らは、この騒動が「ハート・ロッカー」に不利に働くとは考えていないようだ。その理由のひとつとして、シャルティエ氏のメールが判明したのが2日の投票締め切りのわずか数日前で、ほとんどの投票は終わっていた可能性が高いということを挙げている。

 授賞式は3月7日に開催される。(c)AFP/Rob Woollard